法人税法における無償取引|No.3418

No.3418
(平成28年7月25日号)66頁

解説 税務行政あれこれ~税務通達等の見方~ 法人税法における無償取引

Q1

 (5)の「また,いわゆる「低額譲渡」に関して,最高裁は, 法人税法22条 2項が譲渡時における資産の適正な価額に相当する収益があると認識すべきことを明示した規定である旨を判示している(最高裁平成7年12月19日判決)。」とは、どのようなことを意味しているのでしょうか。


A1

 法人税法22条2項において、「無償による資産の譲り受け」があって、「有償による資産の譲り受け」がないのはなぜか、という人がいます。
 時価で譲受けがなされた場合には、益金は生じないのは当然です。ただ、時価よりも低額での譲受けに対応する規定が必要です。ここでの「無償」というのは、本当に対価ゼロの場合だけでなく、時価よりも低額での譲受けの場合を含むということを意味しています。


 法人税法22条2項には、「無償による役務の提供」があるにも関わらず、なぜ「無償による役務の受領」は規定されていないのでしょうか。


A1

 無償による役務の受領側に関しては、法人税法には規定がありません。つまり、文理解釈上は、役務の提供を無償又は低廉で受けた場合には、益金の額が計上されないと理解できます。
 これは、敢えて益金を認識する必要がないから、という理由のようです。
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 「無償による役務の受入れについても収益は発生する。これが明文として規定化されていないのは,役務の無償受入れ(例えば,運送業者から無償で運送用役の給付を受けた場合。)はそれが即時的に費消され,したがって期間配分の対象とはならないばかりか,費用の節減(運送経費の支払免除)を通じて収益面へ積極的に顕現する特性を有するがゆえに,ことさら収益についての特別の認識を行う必要がないことによるものである。」
(「平成3年版 法人税法精説」武田隆二 P62)
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 つまり、役務の提供を受けたとして益金の額を計上させても、同額の損金が認定されることになります。結果として、所得金額の計算には影響を与えない、そのように立案担当者は考えたように思われます。

  支払利息 100 /未払利息 100
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  未払利息 100 /免除益  100


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