派遣労働者からの苦情は「人間関係・いじめ・パワーハラスメント」がトップ

11月になりました。来月は早くも師走......会社担当者の方は諸問題の対応の積み残しがないように計画的に物事を進めないといけない時期になりました。来年度もますます深刻になると予想される人手不足の問題についても考えておかなくてはなりません。
さて、厚生労働省から「平成29年度派遣労働者実態調査の概況」が発表されました。この調査は「事業所調査」と「派遣労働者調査」とに分かれており、立場の違いによる比較が可能になっています。派遣労働者を現に使用されている、または今後採用を検討されている会社担当者の方は、ぜひ参考にして下さい。

事業所調査
img_onepoint0072_01.jpg平成29年10月時点で派遣労働者が就業している事業所の割合は12.7%となっており、産業別では「情報通信業」が30.1%と最も高く、次いで「運輸業、郵便業」の21.6%、「金融業、保険業」の19.3%、製造業の18.3%となっています。興味深いことに1,000人以上の企業では派遣就業者がいるのは83.5%なのに対し、5~29人では9.3%しか就業していないという結果になっています。次に、派遣労働者を就業させる主な理由ですが、「欠員補充等の人員の迅速確保」が73.1%、「一時的・季節的業務量変動に対応」が35.8%、「軽作業、補助的業務」が24.5%、「専門性」が23.7%となっています。
逆に派遣労働者が就業していない事業場で派遣労働者を受け入れない主な理由については、「今いる従業員で十分であるため」が59.4%で最も高く、次に「費用がかかりすぎるため」が25.6%、「派遣労働者を受け入れるより他の就業形態の労働者を採用しているため」22.1%の順になっていました。
派遣労働者から寄せられる苦情の内容では、「人間関係・いじめ・パワーハラスメント」が54.4%、「業務内容」が27.7%、「指揮命令関係」が24.9%となっています。
注目すべきは紹介予定派遣制度を利用したことがある事業所は6.8%しかなく、利用したことがない事業所で「制度を知っている」の回答は32.7%、「制度を知らない」は57.8%にものぼっています。

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派遣労働者調査
img_onepoint0072_02.jpgまず年齢構成ですが、「40~44歳」が16.5%と最も高く、次に「35~39歳」が13.5%、「45~49歳」が13.1%の順になっています。前回の平成24年調査では「35~39歳」が19.2%と一番高い数値ですので、派遣労働者の年齢が上昇傾向にあることがわかります。次に派遣の通算期間ですが、「10年以上」が19.2%と一番高く、次に「5年以上10年未満」が19.0%、「3年以上5年未満」が16.3%で、派遣での通算勤務期間が3年以上の人が5割以上を占めており、派遣といっても短期間で辞めているわけではないようです。
諸手当については「通勤手当」がある割合は50.8%、「賞与・一時金」が19.5%、「昇給」は15%、と正社員と比較すると厳しい面が見受けられます。苦情の内容では「人間関係・いじめ・パワーハラスメント」が28.1%、「業務内容」が27.4%、「賃金」17.5%、となっています。最後に今後の働き方の希望については、「派遣労働者以外(正社員、パート等)の就業形態で働きたい」が48.9%に対して「派遣労働者として働きたい」が26.8%しかなく、この「派遣労働者以外(正社員、パート等)の就業形態で働きたい」の労働者のうち「正社員として働きたい」という回答は80.8%になっています。

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我が国は人材難が深刻な状況です。会社担当者の方は「紹介予定派遣」等について目を向けると視界が広がるかもしれません。その他の点も含め今回のデータを今後の労務管理に活かしていただきたいと思います。
(出典 厚生労働省「平成29年派遣労働者実態調査の概況」)

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