第133回 平成26年度税制改正大綱のポイントと留意点

今月のキーワード ―2014年1月―
公認会計士 太田達也


■「平成26年度税制改正大綱」の公表


本年10月1日付で「民間投資活性化等のための税制改正大綱」が公表され、続いて12月12日付で年末での決定事項を含んだ「平成26年度税制改正大綱」が公表されました。これにより、平成26年度税制改正大綱の全貌が明らかになりました。


■「民間投資活性化等のための税制改正大綱」のポイント


1.生産性向上設備投資促進税制の創設

「民間投資活性化等のための税制改正大綱」の目玉の1つは、生産性向上設備投資促進税制の創設かと思われます。

生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、構築物およびソフトウェアで、産業競争力強化法に規定する生産性向上設備等に該当するもののうち、一定の規模以上のものの取得等をして、その生産性向上設備等を国内にあるその法人の事業の用に供した場合に、特別償却または税額控除の選択適用が認められます。

また、産業競争力強化法の施行日(本稿執筆段階では未定)から平成28年3月31日までの間に取得等したものについては、即時償却の適用も認められるとする内容になっています。政省令等で要件が細かく規定される見込みですので、今後は要件を充足するかどうかの判定が必要になるものと思われます。

平成26年4月1日前に終了する事業年度において、産業競争力強化法の施行の日から平成26年3月31日までの間に対象資産の取得等をした場合には、平成26年4月1日を含む事業年度において、特別償却または税額控除の対象になるとされています。3月決算法人の場合、産業競争力強化法の施行の日から平成26年3月31日までの間に対象資産の取得等をした場合には、平成27年3月期で特別償却または税額控除の適用が受けられることになります。

なお、中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却または税額控除制度については、中小企業者等が産業競争力強化法の施行日から平成29年3月31日までの間に取得等した特定機械装置等のうち生産性向上設備投資促進税制の生産性向上設備等に該当するものについて、即時償却が認められるものとされる予定です。

2. 所得拡大投資促進税制の拡充

平成25年度税制改正により創設された所得拡大投資促進税制(措法42条の12の4)の拡充を図る改正が大綱に盛り込まれています。現行法では、雇用者給与等支給増加割合が5%以上という点が要件をクリアするうえで厳しいと認識されていますが、平成26年度税制改正後は、平成27年4月1日前に開始する適用年度は2%以上、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する適用年度は3%以上、平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する適用年度は5%以上という内容に改められる見込みですので、今後は要件を満たしやすくなります。

3.その他

ベンチャー投資の促進を図るための税制の創設、事業再編を促進するための税制の創設、試験研究費の税額控除制度のうちの増加型に係る改正などが盛り込まれています。


■年末での決定事項

1.法人税法関係

法人税法に関しては、それほど重要な改正は盛り込まれていません。復興特別法人税の1年前倒し廃止、交際費について費用の額の50%の損金算入(中小法人については特例を存続したうえで、この新設される取扱いとの選択適用可)、国家戦略特別区域法の制定に伴う国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却または税額控除制度の創設など、比較的小粒な改正が中心です。

2. 所得税法関係

所得税法については、給与所得控除の上限についての引下げ(平成28年分については給与収入額1,200万円超、平成29年分以後については給与収入額1,000万円超について上限設定)、NISA(少額投資非課税制度)についての他の金融機関への口座乗換えの許容(一定の手続必要)、ゴルフ会員権の譲渡損失についての損益通算の不可(平成26年4月1日以後の譲渡から適用)など、実務上一定の影響の生じ得る改正内容が含まれています。

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