第145回 生産性向上設備投資促進税制における共用資産の取扱い ~本店用と店舗用に共用される資産の取扱いは~

今月のキーワード ―2015年1月―
公認会計士 太田達也

■適用対象は生産等設備


生産性向上設備投資促進税制(措法42条の12の5)は、生産等設備を適用対象としています。生産等設備とは、例えば、製造業を営む法人の工場、小売業を営む法人の店舗または自動車整備業を営む法人の作業場のように、その法人が行う生産活動、販売活動、役務提供活動その他収益を稼得するために行う活動(生産等活動という)の用に直接供される減価償却資産で構成されているものをいいます(措通42の12の5-1)


■共用資産の取扱い


生産等設備に該当するかどうかを判断するうえで、共用資産の取扱いが問題となります。これについては、一棟の建物が本店用と店舗用に供されている場合など、減価償却資産の一部が法人の生産等活動の用に直接供されているものについては、そのすべてが生産等設備となるとされています(措通42の12の5-1の注)。その減価償却資産の取得価額を按分することなく、その全体について税制措置を適用することが認められます。

例えば、本店と店舗が一体となった建物に、その両方で使用される全館空調(冷暖房設備)や昇降機設備を取得等し、それらが最新モデル要件、旧モデル比生産性向上要件その他の要件を満たしており、先端設備(A類型)に該当する場合には、その全体を「生産等設備」として、取得価額の按分をすることなく、取得価額の全体について税制措置を適用することができます。また、営業部と管理部が同じフロアで働いており、共通して使用する照明設備を導入する場合も同様であると考えられます。

さらに、常設の社員食堂を併設した工場を新設し、工場全体の投資について投資計画を作成し、投資利益率要件その他の要件を満たしており、それが生産ラインやオペレーションの改善に資する設備(B類型)に該当する場合、その工場全体を「生産等設備」として税制措置を適用することができます。


■店舗部分のみを投資計画に記載する場合


例えば、1階部分が店舗、2階以上の部分が本社(管理部門)となる1棟の建物を新規取得する投資の場合に、店舗部分のみを合理的に区分し投資計画を作成し、生産ラインやオペレーションの改善に資する設備(B類型)として経済産業局の確認が得られたとします。この場合は、あくまでも投資計画に記載された店舗部分だけが税制措置の対象となる点に留意する必要があります。投資計画に記載されたのがあくまでも店舗部分のみですので、その投資計画について経済産業局の確認が得られたとしても、税制措置の適用が受けられるのはその店舗部分のみということになります。

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