第154回 個人番号の保存期間 ~マイナンバー導入に伴う帳票の保管期間等~

今月のキーワード ―2015年10月―
公認会計士 太田達也


■本人確認書類の保管


個人番号の付番がいよいよ本年10月以降に行われます。個人番号を取得するに際しては、本人確認(番号確認+身元確認)が必ず必要になります。本人確認書類のコピーを保管する法令上の義務はありませんが、本人確認の記録を残すためにコピーを保管することはできるとされています(特定個人情報保護委員会「マイナンバーガイドラインQ&A」Q6-2)。

ただし、コピーを保管する場合には、安全管理措置を適切に講ずる必要があります。個人番号を含む個人情報は、番号法上の「特定個人情報」に該当します。紙媒体で保管する場合は、鍵のかかるキャビネットに保管するのは当然ですが、その鍵の管理も含めて、安全管理措置について特に留意が必要かと思われます。


■扶養控除等申告書のように保存義務があるものの取扱い


扶養控除等申告書は、法令上、申告書の提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間保存する必要があります。マイナンバーガイドラインでは、個人番号関係事務を行う必要がなくなった場合で、所管法令等に定める保存期間を経過した場合には、個人番号を速やかに、かつ復元できない手段で削除または廃棄をしなければならないとされています。

このように所管法令により保存期間の定めがあるものについては、保存期間が経過するまでは保管することになります。安全管理措置が必要であることはいうまでもありませんが、従業員等から紙の形で(手書き)で提出を受けるケースが多いこの申告書について、紙媒体で保管するのかどうか、検討する余地があると考えられます。紙媒体で保管することを避けるのであれば、PDFファイル化して電子保存する方法が考えられますが、コストと手間との比較考量も必要かと思われます。


■保存義務がないものの取扱い


給与所得の源泉徴収票や支払調書の控えについては、法令上保存期間の定めはありません。ただし、それらの帳票が適切に作成されているかどうかを後でも確認できるように、その控えを保管しておく対応が一般的かと思われます。その場合は、システム上で保存している場合も多いと思われます。

この点について、支払調書を正しく作成して提出したかを確認するために支払調書の控えを保管することは、個人番号関係事務の一環として認められると考えられる旨の見解が出されています(マイナンバーガイドラインQ&A・Q6-4-2前段)。

また、給与所得の源泉徴収票や支払調書の控えを保管する期間については、確認の必要性および特定個人情報の保有に係る安全性を勘案し、事業者において判断する点が示されています。ただし、税務における更正決定等の期間制限に鑑みると、保管できる期間は最長でも7年が限度であると考えられるということですので(マイナンバーガイドラインQ&A・Q6-4-2後段)、この点については何年間保管するのかをあらかじめ取扱規程等で明確化しておくことも考えられます。

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