第166回 中小事業者等が機械装置を取得した場合の固定資産税の軽減措置 ~適用するための手続とポイント、留意点等~

今月のキーワード ―2016年10月―
公認会計士 太田達也


■固定資産税の軽減措置の創設

中小事業者等が、「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律」の施行日である平成28年7月1日から平成31年3月31日までの間において、同法に規定する事業を所管する大臣の認定を受けた経営力向上計画に基づいて取得した経営力向上設備等に該当する機械装置に係る固定資産税について、最初の3年間の固定資産税に限り2分の1に軽減する措置が講じられました。固定資産税の軽減措置が講じられたのは初めてですし、赤字会社でもメリットが享受できる点は特別償却や税額控除にない点です。


■計画の認定前の取得でも対象に

本措置は、原則として計画の認定後に取得した設備が対象になります。ただし、計画の認定前に取得した設備であっても、一定の要件を満たしたものは対象になります。すなわち、機械装置を取得した後に経営力向上計画を提出する場合は、取得日から60日以内に経営力向上計画が受理されることが要件となる点に留意する必要があります。
(注)申請と受理は通常はほぼ同時になりますが、提出書類の不備があると、受理までに時間がかかることになる点に留意する必要があります。
また、機械装置の取得後、年末までに計画認定が受けられない場合、軽減期間が2年となる点に留意する必要があります。

■対象となる設備

次の要件を満たす機械装置が対象となります。


固定資産税の軽減措置の対象となる設備

① 販売開始から10年以内のもの
② 旧モデル比で生産性(単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等)が年平均1%以上向上するもの
③ 取得価額160万円以上の機械装置であること

生産性向上設備投資促進税制のA類型とは異なり、最新モデル要件は求められていません。販売開始から10年以内のものであれば、2代前、3代前のモデルでも対象になります。
新品が対象であり、中古品は対象になりません。生産性向上設備投資促進税制とは異なり、オペレーティング・リース取引やレンタルなどの貸付資産についても、貸手が適用を受けることができる点に留意する必要があります。

また、適用要件さえ満たしていれば、生産性向上設備投資促進税制と固定資産の軽減措置を重複適用することができます。
なお、医療用機器は器具備品に該当すると考えられるため、この税制措置の対象にはなりません。

■軽減措置を受けるための手続

軽減措置の適用を受けるための手続は、次のとおりです。申請書の記載方法その他の詳しい手続の内容は、中小企業庁から公表されている「経営力向上計画策定・活用の手引き」を参照してください。

税制措置の適用を受けるための手続

① 中小事業者等は、経営力向上計画策定時に設備を決定し、設備メーカーを通じて工業会等による証明書を入手します。
② 経営力向上設備等の種類を記載した計画申請書とその写し(コピー)とともに、工業会等による証明書(原本)(注)を添付して、主務大臣に計画申請します。
(注)税の申告の際に必要となるため、主務大臣に提出する前にコピーを取っておく必要があります。
③ 主務大臣は、計画認定書と計画申請書の写しを中小事業者等に交付します。
(注)申請から認定までの標準処理期間は30日(計画に記載された事業分野が複数の省庁の所管にまたがる場合は45日)であるとされています。ただし、申請書に不備があった場合は、標準処理期間よりもかかることが想定されます。
④ 固定資産税の申告の際には、納税書類とともに計画認定書の写し、計画申請書の写し、工業会等による証明書の写しなどの添付書類の写しをそれぞれ自治体に提出します。

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