第201回 飲食料品の譲渡と外食との境界線 ~役務提供要件をどのように理解・整理するか~

■外食とは
本年10月1日より消費税率が引き上げられますが、併せて複数税率が導入されます。軽減税率の対象品目は、①飲食料品の譲渡および②週2回以上発行される定期購読契約に基づく新聞の購読料です。
飲食料品の譲渡からは「外食」が除かれますが、ここでいう外食が何を指すのかを正確に理解・整理する必要があります。飲食料品から除かれる「外食」とは、食品衛生法上の飲食店営業、喫茶店営業その他の食事の提供を行う事業を営む事業者が、一定の飲食設備のある場所等において行う食事の提供とされています。
すなわち、食事の提供を行う事業を営む者が、テーブル、椅子、カウンターその他のその場で飲食させるための設備(飲食設備)のある場所で行う「食事の提供」その他これに類するものであり、①事業者が顧客に飲食させようと考えている飲食設備のある場所において(場所要件)、②顧客に飲食させる役務を提供する(役務提供要件)、以上の2つの要件を満たすものが外食に該当します。

■役務提供要件を満たすものとは
いわゆる「ケータリング、出張料理」は外食に準ずるものとして標準税率が適用されますが、相手方が指定した場所で、飲食料品の提供を行う事業者が食材等を持参して調理して提供するものや、調理済みの食材を当該指定された場所で加熱して温かい状態で提供すること等をいい、具体的には以下のような場合が該当します。

①相手方が指定した場所で飲食料品の盛り付けを行う場合
②相手方が指定した場所で飲食料品が入っている器を配膳する場合
③相手方が指定した場所で飲食料品の提供とともに取り分け用の食器等を飲食に適する状態に配置等を行う場合

したがって、いわゆる「出張料理」は、顧客の自宅で調理を行って飲食料品を提供していることから、「相手方の指定した場所において行う役務を伴う飲食料品の提供」に該当し、標準税率が適用されます。
一方、顧客の指定した場所まで単に飲食料品を届けるような場合であるとか、弁当と味噌汁を配達する際に配達先で味噌汁を取り分け用の器に注ぐという行為は、飲食料品の譲渡に通常必要な行為であり、ここでいう役務には該当しないため、軽減税率が適用されると考えられます。

■仕出し弁当を注文した場合
仕出し弁当業者に発注し、弁当と味噌汁を指定した場所まで届けてもらう場合、弁当と味噌汁を単に指定された場所に届けて引き渡すだけであるとか、味噌汁を取り分け用の器に注いでもらうだけであれば、飲食料品の譲渡として、軽減税率が適用されると考えられます。一方、仕出し弁当の業者が、弁当、味噌汁、お箸等を飲食する者の各自の席に配置するようなサービスを伴う場合は、役務提供要件を満たすことになり、標準税率が適用されることになると考えられます。
同様に、コーヒーの配達サービスを利用する場合、単にポットとカップを指定された場所まで配達してもらうだけであるときは軽減税率が適用されると考えられますが、飲食する者の各カップにコーヒーを注いだ上で、各自の席に配置するようなサービスを伴う場合は、役務提供要件を満たすことになり、標準税率が適用されることになると考えられます。

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