第213回 清算中の法人と青色欠損金の控除制限との関係

■青色欠損金の控除制限
 中小法人等以外の法人における青色欠損金の控除の適用において、平成30年4月1日以後に開始する事業年度について、繰越控除前の所得の金額の50%相当額を限度に控除できるとされています。これを青色欠損金の控除制限といいます。
 ここで中小法人等とは、①普通法人(投資法人、特定目的会社および受託法人を除く)のうち、資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であるもの(大法人(注)による完全支配関係がある普通法人、100%グループ内の複数の大法人に発行済株式等の全部を保有されている普通法人は除く)または資本もしくは出資を有しないもの、②公益法人等、③協同組合等、④人格のない社団等をいいます。
(注)大法人とは、資本金の額もしくは出資金の額が5億円以上の法人、相互会社および法人税法4条の7に規定する受託法人をいいます。

■清算中の法人における取扱い
 清算中に終了する事業年度については、残余財産がないと見込まれることを要件として、青色欠損金の控除のほかに、期限切れ欠損金の控除が認められます(法法59条3項)。青色欠損金の控除が期限切れ欠損金の控除に優先される、すなわち青色欠損金の控除を適用してもなお所得の金額が発生する場合に、期限切れ欠損金の控除が認められます。
 清算中に終了する事業年度においても、中小法人等を除いて、青色欠損金の控除制限が適用される点に留意する必要があります。ここ近年に業績が悪化した法人が解散する場合、青色欠損金は潤沢にあるが、期限切れ欠損金がないもしくは少額である事例もみられます。そのような法人が中小法人等以外の法人で、青色欠損金の控除制限の適用を受けると、課税所得が発生してしまう結果になる点に注意しなければなりません。

■減資の検討
 青色欠損金の控除制限の適用を受けないためには、資本金の額の減少(減資)を検討する必要があります。ここで注意しなければならない点は、会社法上、清算中の法人は資本金の額の減少をはじめとした株主資本の計数の変更はできないと規定されている点です。すなわち、会社法509条1項2号において、清算株式会社には、会社法の第5章「計算等」の第3節から第5節までの規定は適用されない旨が規定されており、第3節の中に資本金の額の減少をはじめとした株主資本の計数の変更に係る規定が含まれています。減資を検討するのであれば、事前に検討し、解散決議前に減資を行っておくべきものと思われます。

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