長期割賦販売等の延払基準とは|税務通信 No.3488

No.3488
(平成29年12月25日号)8頁

税務の動向 収益の認識等の見直しは全法人が対象 中小企業も経過措置終了後は延払基準等の適用不可

Q1

 新たな収益認識会計基準が策定されることを踏まえて、平成30年度税制改正大綱では、長期割賦販売等の延払基準が経過措置を設けた上で廃止されることになりました。この長期割賦販売等の延払基準とは、どのような基準なのでしょうか。


A1

 長期割賦販売等の延払基準とは、分割払いによる商品の販売のような、支払回数が3回以上である等の一定の要件を満たす長期割賦販売等を行った場合において、その事業年度に支払期限が到来する対価の額に対応する部分の収益・費用を計上することができる基準をいいます。

1.延払基準が適用できる長期割賦販売等とは
 延払基準が適用できる長期割賦販売等とは、資産の販売等で、次に3つのすべての要件を満たすものをいいます。この「資産の販売等」とは、資産の販売のほか、資産の譲渡、工事(製造を含む)の請負又は役務の提供をいい、工事進行基準が適用される長期大規模工事を除きます。

<長期割賦販売等の3つの要件>
① 支払回数が3回以上の分割払い
  月賦、年賦その他の賦払の方法により3回以上に分割して対価の支払いを受けること
② 支払期間が2年以上
  賦払の期間(商品の引渡し等の日の翌日から最後の支払期日までの期間)が2年以上であること
③ 頭金が2/3以下
  商品の引渡し等の期日までに支払期日が到来する賦払金が対価全体の2/3以下であること


 これら3つのすべての要件に該当した場合には、引渡基準(資産の引渡し時にすべての収益・費用を計上する方法)又は延払基準のいずれかを選択することができます。

2.延払基準の計算方法
 延払基準とは、長期割賦販売等に係る収益・費用のうち、その事業年度に支払期限が到来する対価の額に対応する部分の金額を、法人税の所得金額の計算上益金の額又は損金の額に計上する基準をいいます。具体的には次のように計算します。

<延払基準の収益・費用の計算方法>
① 収益(益金)に計上する金額
  長期割賦販売等の対価の額 × 賦払金割合
② 費用(損金)に計上する金額
  長期割賦販売等の原価(手数料の額を含む)×賦払金割合
<賦払金割合の計算方法>
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イ.その事業年度に支払期日が到来する対価の額
ロ. 前事業年度以前にすでに支払を受けている対価の額
ハ.翌事業年度以後に支払期日が到来するもののうち、その事業年度に支払を受けた金額


具体例で確認してみましょう。

<具体例>延払基準の収益・費用の計算
当期に譲渡した次の資産について、当期に計上する収益・費用の額を計算してください。
① 譲渡対価  4,000万円
② 譲渡原価  2,400万円
③ 延払期間  2年
④ 当期末までに支払期日が到来する賦払金 2,200万円
⑤ 翌期に支払期日が到来するもののうち当期中に支払を受けたもの 400万円
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