コロナ禍における適切な財務管理について

2021年12月2日

 

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この度のコロナ禍により、企業の経営環境は劇的に変化しました。
経営状況、資金繰りが悪化しているが具体的にどうすればよいのか見いだせないという経営者の悩みをよく耳にします。
本コラムでは、企業が抱えがちな経営課題にスポットを当て、その対処法についてお話します。

 

「停滞期も成長期も肝要な“財務管理”」


昨年から続く、新型コロナウィルス感染症の影響により、多くの企業が急激な経営悪化に陥っています。そんな中、日本政策金融公庫や民間金融機関から信用保証協会を利用したコロナ特別融資を受けた企業が多いかと思います。しかし、資金調達をしただけでは本質的な解決にはなりません。悪化している状況への対応を先延ばしにし、いざ経営改善に着手しようとしたときには、資金や体力もなくなってしまっている状況にある企業が多く見受けられます。

このような企業は、資金が不足する事が直前にならないとわからないなど、資金繰り管理ができておらず、また資金調達も計画的に行えていない行き当たりばったりな状況と言えます。また、今後の事業のための設備投資や事業の再構築を図ろうにも手許資金がないことにより断念するなど機会損失が発生したりする傾向にあります。

財務管理とは、資金をどう調達するか(資金調達)、調達した資金をどのように活用し経営をよくしていくか(投資)、事業からの収益を今後どのように利用するか(利益配分)を考え企業価値を高めていく考え方なのです。つまり、企業が通常の営業循環を行いながら健全に成長するために必要な資金や資産の管理を行って行くことです。また企業によっては、財務管理の中に自社の企業価値の算出やM&Aなどが管理に含まれることもあります。

 

財務管理で重要なことは、資金の管理を行うこと、利益を管理することです。現在の財務状況を分析し正確に把握し、費用の状況や損益を管理すること、将来のキャッシュフローを理解することで、今回の新型コロナウィルス感染症や外部環境の悪化による資金ショート等様々なリスクを避け、適切な経営改善のために資金を準備し、またどの時点で資金が必要になってくるのかを、あらかじめ計画的に管理していくことをいいます。

業績が安定している企業においては、財務管理をしっかりと行うことで将来の自社の事業モデルの成長を常に考えるようになります。しっかりと計画を立てることで、設備投資や先回りした資金調達に動くことができます。資金繰りに余裕を持ち、M&Aビジネスチャンスにもスピーディーに対応でき経営の選択肢を広げることができます。

財務管理と、財務会計や管理会計は混同されがちではありますが似て非なるものであります。財務会計と管理会計は会計にかかわるといった点で財務管理とは異なりますが、これらの資料を活用し将来を予測し計画を立てるという意味では、財務管理の一部と言えます。

 

・財務会計:企業の経営状態について外部の利害関係者に開示するための会計業務
過去の実績をまとめた報告書

・管理会計:社内で用いる会計で、事業におけるデータを収集・分析した会計業務
これからの計画や予算を見積もり、経営管理するための未来の情報

 

管理会計は任意であり、採用していない企業もありますが、自社の経営の分析や意思決定を行ったり、製品や人事に関する施策を検討するのに有効であり、経営のための会計と言えます。

 

【財務会計と管理会計】

 

2つの会計は、資料を作成し見える化できるという点で、取り組まれている企業も多くあるとは思いますが、そこで止まっていては先ほどの行き当たりばったりの経営と大きく差はありません。

具体例として、2代目の経営者において、経営の承継が行われることがあります。売上、経費、原価や取引先毎の利益等の損益に関わることは資料があるため理解しやすいのですが、資金繰りや資金調達の部分は、先代経営者の長年の経験や金融機関との付き合いの中で磨かれた「暗黙知」の部分が大きく、2代目社長はどうしていいか分からず相談に来たられました。しっかりとした会計を行っていたとしても、経営者がそれらを利用して管理できていないのであればあまり意味がありません。

当面の資金繰り・財務管理は入出金のタイミングを把握することで資金の動きを見える化し、将来のキャッシュフローを分析し把握することで資金投入のタイミングや必要な金額が把握できます。事業の規模や、経営の目標に合わせた管理が行えるようになります。「小規模な企業だから」、「業績があまりよくないから」、財務管理は関係ないというものではありません。

 

経営者の皆様には自社の財務状況を理解し、課題を洗い出したうえでどの様に改善を行って行くのか。そのためにはいくら資金がいるのか。どのように資金を活用していくのかという事を考え計画を立てることが必要なのです。その計画を日ごろから金融機関と共有し、金融機関からの信頼を得ておくことで安定した経営を行って行くことができるのです。

攻めの経営を行うにも、守りに入るにしろ、いずれにおいてもしっかりした財務の土台が必要です。財務や資金繰りをいつまでも勘に頼った行き当たりばったりの経営では急激な変化が起こった際に対応できなくなります。組織が整備されていない企業においては、どんぶり勘定になることも多く見られますが、手元の資金がなくなってしまうと信用を失います。

財務管理は、自社の置かれている財務状況を正確に把握し、手元のキャッシュの量を確認しながら将来の戦力をより正確に組み立てていくために必要な管理なのです。そして、財務管理の基本は経理にあるので、基本となる経理もきっちりと管理していくようにしましょう。

 

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中小企業診断士前田節(まえだ とも)

株式会社ジャストコンサルティング 代表取締役。
中小企業支援をメインとした経営コンサルティング会社「株式会社ジャストコンサルティング」を2014年設立。コンサルタント12名を率い、専門性とチームワークを活かした実行型支援を行っている。

» 会社URL   https://www.just-c.net
» Facebook https://www.facebook.com/JustConsulting.buntbrain

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