第250回 高速道路のETCクレジットサービスへの対応
~運用の弾力化措置が明らかに~

2023年10月1日

 

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■インボイス制度下におけるクレジットカード利用明細書の位置づけ

クレジットカード利用明細書は、クレジットカード会社が発行したものであり、課税資産の譲渡等を行った事業者が発行したものではありません。また、課税資産の譲渡等の内容や適用税率など、適格請求書の記載事項も満たしませんので、一般的に、適格請求書には該当せず、クレジットカード利用明細書と帳簿の保存のみでは、消費税法上の仕入税額控除は認められません。

令和5年10月1日から施行されるインボイス制度下においては、支払対価の額が3万円未満の場合に一定事項を記載した帳簿のみの保存により仕入税額控除を受けられる規定(消令49条1項1号)が廃止されますので、支払対価の額が3万円未満のものも含め、課税資産の譲渡等を行った事業者から適格請求書(または適格簡易請求書でよい取引については適格簡易請求書)の記載事項を満たす領収書等の交付を受け、保存する必要があります。

 

■ETC利用照会サービスの活用

ETCクレジットカードを用いて高速道路を使用した場合の利用料に係る仕入税額控除の取扱いが問題となります。

クレジットカード会社等が発行主体となっているETCクレジットカードの利用については、登録することで利用できるWEB上の「ETC利用照会サービス」(高速道路の会社6社が運営)において適格簡易請求書(電子データ)が交付されることとなっています。「ETC利用照会サービス」において利用証明書を入手することができますが、この利用証明書を適格簡易請求書(電子データ)として利用することができるとされています。

 

■運用の弾力化措置の公表

本来の原則的な取扱いとしては、一定期間ごとに、「ETC利用照会サービス」において「利用証明書」を入手し、それを保存することが必要になり、電子データでの保存については、電子帳簿保存法上の「電子取引データ保存」の類型に該当しますので、電子帳簿保存法7条に規定する保存要件を満たすことが必要になります。

しかし、令和5年9月15日付で、国税庁から「お問合せの多いご質問(令和5年9月15日掲載)」が公表され、追加問としてETCクレジットカードに係る柔軟な運用方針が公表されました。高速道路の利用が多頻度の場合に、全件をダウンロードすることが、実務上困難であるとの声に応えたもののようです。

これによれば、高速道路会社(高速道路会社および地方道路公社)ごとに、令和5年10月1日以後、任意の一取引に係る利用証明書を一回のみダウンロードし、保存することで差し支えないとのことです。任意の一取引ですから、課税期間中のいずれの取引に係るものかは問わないと考えられます。

ただし、Q&Aにも書かれていますが、併せて保存するETCクレジットカード利用明細書については、高速道路の利用に係る内容が判明するものに限り、取引年月日や取引の内容、対価の額が分かる利用明細データも含むとされています。この点、ETCクレジットカード利用明細書には、通常は取引年月日、取引内容(利用した区間)、対価の額が表示されていると思われます。

 

 

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