第251回 電子帳簿保存法に対応するためのソフトウエアの改訂費用の取扱い

2023年11月1日

 

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■法令等の改正に伴うソフトウエアの改訂

法令等の改正に伴い、当該改正に対応するためにソフトウエアの改訂を行うことが不可避的である場合、その改訂は当該ソフトウエアの現状の効用を維持するための費用であると考えられ、原則として修繕費に該当します。記憶に新しいところでは、インボイス制度に対応するために、請求書の作成ソフトウエアに登録番号、適用税率、税率ごとに区分した消費税額等を記載するプログラムの改訂を行った事業者が多いと考えられますが、この場合の改訂費用は上記に該当すると考えられます。また、インボイス制度に対応するために、帳簿に経過措置適用取引である旨を記載し、経過措置対象取引としての税額計算を行うためのプログラムの追加を行ったり、帳簿のみの保存により仕入税額控除が認められる取引について、帳簿に必要事項の追加を行うためのプログラムの追加を行うための費用についても、同様であると考えられます。

一方、新たなソフトウエアを購入した場合には、それは新規資産の取得であり、資産計上することが必要になります。

 

■電子帳簿保存法への対応 -「優良な電子帳簿」に対応するための改訂費用-

電子帳簿等保存制度では、電子データの保存対象となる帳簿が、「優良な電子帳簿」と「その他の電子帳簿」に区別されています。「優良な電子帳簿」に該当するためには、検索要件や訂正・削除履歴の確保要件などの所定の要件を充足し、届出書を所轄税務署長に事前提出することが求められています。一定の国税関係帳簿について「優良な電子帳簿」の要件を満たしている場合には、その国税関係帳簿(優良な電子帳簿)に記録された事項に関し申告漏れがあった場合に、その申告漏れに課される過少申告加算税が5%軽減される措置等の優遇措置が適用されます(電帳法8条4項、電帳規2条、5条)。

「優良な電子帳簿」は、法令の義務ではなく、法人の意思により選択するものであり、「優良な電子帳簿」に該当するためのソフトウエアのバージョンアップ等は、対応をしなければ法令遵守できないわけではなく、現状の効用を維持するためのものではありません。新たな機能の付加等として、当該費用は「資本的支出」に該当すると考えられます。

 

■「その他の電子帳簿」に対応するための改訂費用

一方、「その他の電子帳簿」に対応するためのシステム改訂等の費用は、法令等の最低限の求めに応じるためのものであり、対応しなければ法令遵守に反することになりますので、現状の効用を維持するための費用として、原則として修繕費に該当すると考えられます。

なお、電子帳簿保存法の改正とは直接関係のないプログラムの追加、機能の向上等のための改訂を併せて行ったような場合は、この部分を区分して資本的支出として処理する必要があることはいうまでもありません。この場合、請求書内訳または見積書等において、資本的支出として処理すべき費用部分を区分して記載してもらうように、業者に依頼することが考えられます。

 

 

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