非居住者への土地等の譲渡対価の支払い|税務通信 READER’S CLUB

2023年1月11日

 

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関連記事:No.3730(令和4年11月28日号) 45頁

ショウ・ウィンドウ 「外国人オーナー物件と源泉徴収義務の免除」
Q1

 記事では、外国人オーナーから国内不動産を借りる場合に、その賃料支払時に源泉徴収義務が課される場合があるというものでしたが、賃貸ではなく、その国内不動産を外国人オーナーから購入する場合に、気を付けるべきことはありますか?

A1

 日本の国内法では、外国法人や非居住者(以下、「非居住者等」という)から、一定の土地等を取得する場合には、その譲渡対価を支払う際に、10.21%の源泉徴収義務が課されています。この「一定の土地等」とは、国内の「土地若しくは土地の上に存する権利」、「建物及びその附属設備」、「構築物」とされています。

この源泉徴収義務は、原則として全ての者が対象のため、サラリーマンなどの一般の人にもその義務が課されています。しかし、個人が居住用に利用するために購入した一定の土地等で、かつ、少額な不動産取引に関しては、購入者の負担を排除するため、源泉徴収義務が免除されています。ここで「個人が居住用に利用するため」には、親族の居住用も含み、「少額な不動産取引」とは、1億円以下の取引をいいます。したがって、個人が居住用に非居住者等から1億円以下で一定の土地等を取得する場合には、源泉徴収義務を気にする必要はありません。一方で、この特例は個人が対象なので、法人が一定の土地等を取得する場合には、その金額に関わらず、源泉徴収義務が免除されることはありません。

また、この1億円以下の判定ですが、例えば、非居住者等から一定の土地等を事務所併用住宅として取得した場合には、事務所用と居住用部分の金額に分けて1億円の判定をするのではなく、取得した総額で1億円の判定をすることに注意が必要です。

さらに、非居住者等から一定の土地等を2人で50%ずつの共有で購入した場合でも、各人の共有持分で1億円の判定をするのではなく、譲渡対価の総額で判定します。1億円の判定は、あくまで譲渡する非居住者等単位で考えます。そのため、逆に、譲渡する非居住者等が2人以上の共有の場合には、その共有者一人ごとの譲渡対価が1億円以下かどうかで、判定することに注意が必要です。このことは、国税庁の質疑応答事例に下記のように掲載されています。

土地等が共有されている場合の取扱い(国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/06/01.htm より)

【照会要旨】

次に掲げる例の場合に土地等の譲渡対価に対して源泉徴収の必要がありますか。

なお、譲渡対価の総額は1億5,000万円、A及びBは非居住者、甲及び乙は居住者です。

事例1

売主:A(単独)

買主:甲1/2、乙1/2(共有:甲、乙それぞれの居住用)

事例2

売主:A1/2、B1/2(共有)

買主:甲(単独:居住用)

【回答要旨】

事例1については、甲乙それぞれにおいて源泉徴収が必要です。

また、事例2については、源泉徴収は不要です。

非居住者等に支払う国内にある土地等の譲渡対価については、その対価を支払う者が、原則として源泉徴収を行うこととされています(所得税法第161条第1項第5号、第212条第1項)。

しかしながら、土地等の譲渡対価が1億円を超えず、かつ、当該土地等を自己又はその親族の居住の用に供するために譲り受けた個人から支払われる対価については、源泉徴収の対象となる土地等の譲渡対価から除かれています(所得税法施行令第281条の3)。

この場合、譲渡対価が1億円超であるかどうかの判定は、所得税法施行令第281条の3《国内にある土地等の譲渡による対価》の規定上、支払金額又は譲受けの対価といった土地等の取得者側を考慮した規定ぶりとはなっておらず、あくまで土地等を譲渡した側の譲渡対価の額で判定する規定ぶりとなっています。

したがって、1については源泉徴収が必要となり、2については源泉徴収が不要となります。

 

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