「資産の取得と2割特例の関係」|税務通信 READER’S CLUB

2026年2月9日
関連記事:No.3879(令和7年12月08日号) 53頁
「課税事業者選択届出書」を提出していなければ、調整対象固定資産の仕入れ等を行ったことによる制限の対象外になるとのことですが、これは調整対象固定資産の取得価額が高額であっても制限の対象外になるのでしょうか。
調整対象固定資産の取得価額が1,000万円以上である場合には、「高額特定資産」にも該当します。高額特定資産を取得すると、「高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例」が適用される場合があります。この制限の対象になると、原則として3年間は一般課税による申告が強制され、この期間中は2割特例が適用できないため、注意が必要です。
1.「調整対象固定資産」と「高額特定資産」の違い
調整対象固定資産とは、建物、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で、一の取引の単位(通常、一組又は一式で取引の単位とされるものは、その一組又は一式)に係る税抜対価の額が100万円以上のものをいいます(消法2①十六、消令5)。なお、棚卸資産は対象に含まれません。
これに対して、高額特定資産とは、調整対象固定資産および棚卸資産のうち、一の取引の単位に係る税抜対価の額が1,000万円以上のものをいいます(消法12の4①、消令25の5)。
したがって、調整対象固定資産のうち税抜対価の額が1,000万円以上のものは、高額特定資産にも該当し、他の要件を満たす場合には、「高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例」が適用されることになります。
2.高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例とは
課税事業者が、一般課税の適用を受ける課税期間に高額特定資産を取得した場合には、高額特定資産の仕入れ等を行った課税期間の初日から3年を経過する日までの各課税期間においては、免税事業者に戻ることができません(消法12の4①)。また、「簡易課税制度選択届出書」を提出することもできません(消法37③三)。
これにより、過去において既に簡易課税制度の選択を行っている場合を除き、その取得を行った課税期間以後の3年間は、一般課税による申告が強制されることになります。これは、調整対象固定資産を取得した場合と同様の、いわゆる「3年縛り」と呼ばれるものであり、この期間中は2割特例も適用できないため、注意が必要です。
3.「課税事業者」の範囲の違い
ここで注意しなければならないのが、これら2つの制限規定における「課税事業者」の範囲の違いです。
調整対象固定資産に係る制限規定の対象となる「課税事業者」は、「課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者となった者など、一定の事業者に限定されています。そのため、これらに該当しない場合には、調整対象固定資産を取得し、一般課税で申告をしたとしても「3年縛り」の対象にはなりません。
これに対して、高額特定資産に係る制限規定の対象となる「課税事業者」は、課税事業者となった理由を問わず、全ての課税事業者が対象になります。このため、「課税事業者選択届出書」の提出により課税事業者となった者だけでなく、基準期間における課税売上高が1,000万円を超えたことにより課税事業者となった者や、インボイス制度の登録により課税事業者となった者であっても、高額特定資産を取得し、一般課税で申告をすると「3年縛り」の対象になる点に注意が必要です。
このように、「課税事業者選択届出書」を提出していない場合であっても、1,000万円以上の資産を取得しているときは、高額特定資産に係る制限の対象となり、2割特例が適用できない可能性があるため、注意が必要です。
















