役員退職金の損金算入時期|税務通信 READER’S CLUB

 

 

 

関連記事:No.3882(令和7年1月5日号) 53頁

「ショウ・ウインドウ 役員退職慰労金と収入時期」
Q1

この記事では、役員に支払われる退職手当等の個人の収入計上時期に関して、株主総会等の決議を要するものについては、その役員の退職後その決議があった日、であると解説されています。この場合、支払う法人側においての損金算入時期は、いつになりますか?

 

A1

従業員にとっての退職金は、労働対価の後払いとしての性格を有しているため、退職金規程などがあれば、退職という事実と同時に、退職金を受け取る権利が発生すると考えられます。当然、法人としては、同じタイミングで債務が発生するため、その時に損金が生じます。

一方で、役員は、準委任契約の対価として、つまりプロとしての職務執行の対価として、報酬を受け取っています。そのため、役員には、職務執行の対価の後払いとしての退職金は、当然には発生しませんが、役員としての功績が評価され慰労金を支給することは考えられます。ただし、慰労金であっても、職務執行の対価であることから、支給のためには株主総会等の決議が必要です(会社法361)。ここで注意が必要なのは、役員退職慰労金規程があるから債務として存在し、退職金の支給が可能になるわけではないということです。逆にいうと、役員退職慰労金規程がなくても、株式総会等での決議さえあれば、役員への退職金支給は可能です。

債務確定基準を採用している税務上では、役員退職金の上記のような法的性格のもと、債務の確定時である株主総会等の決議日が損金算入時期とされています。

(役員に対する退職給与の損金算入の時期)

9-2-28 退職した役員に対する退職給与の額の損金算入の時期は、株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する事業年度とする。ただし、法人がその退職給与の額を支払った日の属する事業年度においてその支払った額につき損金経理をした場合には、これを認める。

 

原則はこの通りですが、通達の但し書きで例外が設けられており「法人がその退職給与の額を支払った日の属する事業年度においてその支払った額につき損金経理をした場合には、これを認める」とされています。これは、決議日と支給日の好きな方を損金算入時期として選択できるという解釈をすべきではなく、この支給日の例外は、あくまで実務に配慮した緩和措置だと認識すべきです。実務上は、株式総会開催まで時間を要するなど様々な理由により株主総会等の決議日より前に退職金を支給することもあり、そのようなケースを救済するため、損金経理という法人による意思表示をさせることを条件として認めているものだと思われます。なお、この場合でも、法務上は、決議をせずに放置していいわけではなく、後日、株主総会等での決議が必須であることは言うまでもありません。

 

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