敷金の評価について
2023年2月16日
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敷金の評価について
[質問]
以下の契約内容の場合の貸手側の敷金の相続税評価について、契約の残存期間をどのように考えればよいのかご教示願います。
相続開始日 令和3年12月
当初の契約日 昭和62年5月
当初の契約期間 上記から20年間
契約更新規定 同一条件で3年間更新される
敷金 100万円 無利息
[回答]
ご質問の土地の賃貸借契約が、建物の所有を目的とするものか、それ以外のものかによって、当該契約の残存期間は、次のとおりになると考えます。
(1) 建物の所有を目的とするもの
建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約の存続期間については、借地借家法が適用され、同法が施行された平成4年8月1日前に設定された借地権については、旧借地法が適用されます(借地借家法附則6)。
そして、旧借地法6条1項は、①借地権が存続期間の満了により消滅したが、②借地権者が更新請求することなく土地使用を継続しており、③その継続使用について土地の所有者が遅滞なく異議(異議を述べるに当たり、建物が存在する場合には、正当事由が必要であるが、建物が存在しない場合には、正当事由は不要です。)を述べなかったような場合には、従前の契約と同一条件で契約を更新したもの(更に借地権を設定されたもの)とみなされます。
そうすると、ご質問ケースは、最初の更新日より20年間経過する日までの間が土地の賃貸借契約の残存期間になると考えます。
参考
【借地借家法】
《借地契約の更新請求等》
第5条 借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。
2 借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、前項と同様とする。
(以下略)
【借地借家法附則】
《借地契約の更新に関する経過措置》
第6条 この法律の施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関し ては、なお従前の例による。
【旧借地法】
《借地権の法定更新(一)》
第6条 借地権者借地権の消滅後土地の使用を継続する場合において土地所有者が遅滞なく異議を述べさりしときは前契約と同一の条件をもって更に借地権を設定したるものとみなす。この場合においては前条第1項の規定を準用す。
(以下略)
(2) (1)以外のもの
建物の所有を目的としない土地の賃貸借契約の存続期間については、借地借家法が適用されず(借地借家法2一)、民法604条《賃貸借の存続期間》が適用されます。
そうすると、ご質問ケースは、同一条件で3年間更新されることとなっていることから、土地の賃貸借契約の残存期間は、その定めに従って判断することになると考えます。
(税理士懇話会・資産税研究会事例より)
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