買換資産が完成するまで元々居住していた譲渡資産にリースバック方式で居住する場合の特例適用について

2023年6月13日

 

 

このコラムの次回更新を知りたかったら…@zeiken_infoをフォロー

 

 

買換資産が完成するまで元々居住していた譲渡資産にリースバック方式で居住する場合の特例適用について


[質問]

【概要】
個人甲は不動産会社A(甲の同族会社ではありません)と相談し、現在居住している戸建て住宅(所有期間・居住期間は10年以上であり、全部を居住の用に供しています。以下「譲渡資産」といいます。)をAに売却し、その売却代金で新たに居住する新築マンションの一室(以下「買換資産」といいます。)を購入する計画を立てました。

ただし、買換資産はまだ建築途中であるため、居住している譲渡資産をAに売却後、買換資産が完成し、居住するまでの間、現在居住している譲渡資産をAから甲へそのまま賃貸することになりました(いわゆるハウスリースバックの一種です)。
具体的な流れは以下のとおりです。

●令和4年3月に甲は新たに居住する予定(令和5年4月)の買換資産を4,000万円で購入する契約をしました。
●令和4年4月に甲は居住の用に供する譲渡資産を不動産会社Aに3,000万円で売却しました。
●甲は令和4年4月から令和5年4月まで譲渡資産に居住し、不動産会社Aに毎月15万円の賃貸料を支払います。
なお、甲は過去に居住用財産関係の特例の適用を受けておらず、住宅ローン控除の特例も適用しません。また、買換資産は、特例の適用の面積的な要件を満たしています。

 

【質問】
譲渡資産の範囲で、家屋はその個人の居住の用に供されなくなったものとされています(措法第36条の2第1項第2号)。
令和4年分の確定申告の提出時において、譲渡資産に賃貸で居住していますが、令和5年4月には買換資産に居住する見込みです。
買換資産に居住した時に譲渡資産は居住の用に供されなくなったと考え、特例の適用を受けられるものと考えて差し支えないでしょうか。

 

 

[回答]

1 居住用財産の譲渡に伴う各種課税の特例は、「個人がその居住の用に供している家屋」及び「その居住の用に供している家屋で居住の用に供さなくなったもの」(以下、これらを居住用家屋という。)を対象としています。最高裁平成元年3月28日判決は、この「居住の用に供している家屋」とは、「個人が、当該家屋を譲渡所得の帰属者の立場において、すなわちその所有者として居住の用に供していたことを右特別控除を認めるための要件とするものとみなければならない」とし、所有者として居住している又は居住していたことが基本となります。この点は、ご照会の「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の2)」の適用においても同様です。

 

2 ご照会は、譲渡資産である居住用家屋を譲渡した後においても、買換資産に居住できるまでの間、賃借して引き続き居住の用に供した場合に同特例を適用することができるか、というものですが、これについては、次により同特例の対象となる譲渡資産に該当するものと考えます。

①同特例の対象となる譲渡資産に関しては上記1の居住用家屋に該当するかどうかがポイントとなるところ、甲は、譲渡時点において現に所有者として居住していますので居住用家屋に該当すること。

②譲渡後の居住用家屋について、賃借等で居住を継続しないこと等の要件は定められていないこと(本件の場合は、買換資産に居住できるようになるまでの仮住まいにすぎないことから、そもそも居住を継続することに当たるともいえないこと。)。

③ご照会中で引用する措置法第36条の2第1項第2号に規定する「前号に掲げる家屋(当該個人がその居住の用に供している家屋)で当該個人の居住の用に供されなくなったもの」は、その居住の用に供している家屋で居住の用に供さなくなったもの、すなわち、譲渡時点より前において所有者として居住の用に供している家屋で、その後居住の用に供されなくなったものを指していますので、本件とは関連しないこと。

 

 

 

(税理士懇話会・資産税研究会事例より)

 

 

このコラムの次回更新を知りたかったら…@zeiken_infoをフォロー

 

新着プレスリリース

プレスリリース一覧へ

注目タグ