株式を贈与する場合の評価差額に対する法人税相当額控除の可否

2023年7月11日

 

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株式を贈与する場合の評価差額に対する法人税相当額控除の可否


[質問]

甲法人資本金2,500万円発行済株式数、5万株の法人の代表取締役会長Aの14,900株所有の株式を、代表取締役B(Aの長男)に全額を令和4年12月に贈与しました。既に精算課税の選択をしていますので20%の贈与税になります。

この時の株式の価額を計算するときに評価差額が70,000千円ほどありますので、この評価差額に対しては37%の法人税相当額25,900千円を控除して株式の価額計算上で控除できますか。

なお、この甲法人は配当もなく、当期利益もなく、純資産価額は欠損ですので比準要素数1の会社です。

 

 

[回答]

1 財産評価基本通達185では、(相続税評価額によって計算した金額)は、評価会社の課税時期における各資産の価額の合計額から各負債の金額の合計額及び186-2により計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額を控除した金額を課税時期における発行済株式数で除して計算した金額とする旨定めています。

この評価差額に対する法人税額等相当額の控除ができない場合としては、① 評価会社の有する資産の中に現物出資、合併、株式交換又は株式移転により著しく低い価額で受入れた資産がある場合(評基通186-2⑵)や、② 評価会社が有する取引相場のない株式の純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)を計算する場合(評基通186-3)がありますが、相続時精算課税の場合に適用できないという扱いはありません。

したがって、甲法人の有する資産の中に上記資産がない場合は、その評価差額7,000万円に対する法人税額相当額(×37%=2,590万円)を控除して1株当たりの純資産価額を計算することになります。

 

2 なお、照会文に、「甲法人には、配当もなく、当期利益もなく、純資産価額は欠損ですので比準要素数1の会社になります」とありますが(比準要素数1の会社の株式の価額は、Lの割合を0.25として純資産価額方式と類似業種比準方式との併用方式により評価することができます。)、直前期末を基とした比準要素がいずれも0である会社は、開業後3年未満の会社等に該当し(評基通189⑷ロ)、1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価することになります(評基通189-4)。

 

 

(税理士懇話会・資産税研究会事例より)

 

 

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