駐車場のアスファルト舗装等の構築物の評価

2023年9月19日

 

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駐車場のアスファルト舗装等の構築物の評価


[質問]

相続税申告の際に下記の財産については、評価対象となるものでしょうか。

1. アパートの敷地に附されているアスファルトの駐車場工事(不動産所得の減価償却台帳に記載されている)
2. アパートの敷地上にある、フェンス(不動産所得の減価償却台帳に記載されている)
3. 水道加入権

 

 

 

[回答]

1 相続税法上の財産とは

相続税法は、相続、遺贈又は贈与により取得した財産に対して相続税又は贈与税を課税する旨を規定しています(相続税法第2条、第2条の2)。

ここでいう「財産」とは、金銭に見積ることができる経済的価値のあるすべてのものをいうとされていますが、次のことに留意するとされています(相続税法基本通達11の2-1《「財産」の意義》)。

(1) 財産には、物権、債権及び無体財産権に限らず、信託受益権、電話加入権等が含まれること。
(2) 財産には、法律上の根拠を有しないものであっても経済的価値が認められているもの、例えば、営業権のようなものが含まれること。
(3) 質権、抵当権又は地役権(区分地上権に準ずる地役権を除く。)のように従たる権利は、主たる権利の価値を担保し、又は増加させるものであって、独立して財産を構成しないこと。

すなわち、この財産には、独立して財産を構成しない、いわゆる取引されることのないものは財産には該当しないが、法律上の根拠がなくても経済的価値があるものとして取引される営業権、ノウハウ等については財産に該当するとされています。

 

2 構築物の評価方法

構築物とは、土地の上に定着する建物以外の建造物、土木設備、工作物のことをいい、具体的には、塀、橋、鉄塔、看板、舗装道路、庭園、緑化設備などが該当します。そして、民法第86条第1項において「土地及びその定着物は、不動産とする」と定められていることから、構築物は不動産に該当します。

構築物の評価方法については、財産評価基本通達97《評価の方式》に定められており、その価額は、その構築物の再建築価額から、建築の時から課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とします。)の償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額の100分の70に相当する金額によって評価するとされています。この場合の再建築価額とは、課税時期において新築するとした場合における必要と見込まれる建築費用の金額のことであり、償却方法は定率法により、その耐用年数は耐用年数省令に規定する耐用年数によるとされています。

 

3 照会事例への適用

ご照会の事例では、アパート敷地に附されているアスファルトと同敷地上のフェンスは、構築物に該当しますので、相続財産として評価して相続税の課税価額に計上することになります。

しかし、水道加入権(水道負担金又は水道加入金のことと思われますが、ここでは「水道施設利用権」と呼びます。)については、建物の建築に当たっては負担せざるを得ないものですが、①個別、独立的に売買できない(市場がない=換金性がない)、②水利条件は土地の評価に含まれる、③住環境として周辺の土地相場に織り込み済みなどと考えられます。したがって、相続税法上の「財産」とは、金銭的価値のあるものをいい、独立して財産を構成しない、いわゆる取引されることのないものは「財産」に該当しないとされていますので、個別、独立して売買できない水道施設利用権は、相続税法上の「財産」には該当しないと考えられます。

なお、非上場株式の1株当たりの純資産価額の計算に当たっても、水道施設利用権は無形固定資産になりますが、資産性がないとして、取引相場のない株式の評価明細書第5表(1株当たりの純資産価額の評価明細書)の「帳簿価額」欄には計上しないことになると考えられます。

 

 

(税理士懇話会・資産税研究会事例より)

 

 

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