精算課税 債権放棄に伴う株価上昇分は「みなし贈与」に該当
2023年6月13日
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精算課税 債権放棄に伴う株価上昇分は「みなし贈与」に該当
令和5年度改正により、相続時精算課税制度について、相続財産へ加算不要の基礎控除110万円が創設等された。令和6年1月1日以後の贈与等では、同制度を適用した生前贈与を図るケースが多くなることが想定される。
同制度において、相続財産への加算対象額は贈与財産の“贈与時の時価”となるため、事業承継に伴う株式の贈与時に活用されることも多い。ただ、会社の代表者(特定贈与者)から後継者(精算課税適用者)が今後値上がりの見込まれる株式の贈与を受けるケースもあり、同ケースで生じる予期せぬ「みなし贈与」の存在に注意が必要だ。
例えば、非上場の同族会社において、代表者(父・特定贈与者)が同社への貸付金債権を有しており、代表者が後継者(子・精算課税適用者)に同社株式(贈与時の時価3,000)を贈与したうえで同債権を放棄した場合、同社に債務免除益が発生して同社の株式価額が500上昇したとする。
この場合、代表者による同社株式の貸付金債権の放棄により、同社は債務免除益を代表者から贈与により取得したものとされる(相法9)。また、同債権放棄に伴う同社の株価上昇分500は、株主である後継者が、代表者から贈与により取得したものとして取り扱われる(相基通9―2⑶)。
つまり、相続財産への加算対象額は、本来であれば贈与時の時価3,000であるところ、代表者による同債権放棄に伴って生じた株価上昇分500が、代表者から後継者への「みなし贈与」として取り扱われることにより相続財産へ加算されるため、その加算対象額は3,500となる。
(情報提供:週刊 税務通信)
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