【子ども子育て支援金、対応の準備はできていますか?】
| 働く人が知っていると得をする社会保険の知識 第38回

2026年2月20日

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このコラムでは働く皆さんが知っていると得をする社会保険、労働保険、あるいは周辺の労働法関係のテーマを取り扱い、「イザ」というときにみなさんに使っていただくことを狙いとしています。したがって、「読んで終わり」ではなく「思い出して使う」または「周囲の人へのアドバイス」に役立てていただければ幸いです。

第35回において、令和8年の法改正内容についてダイジェストで取り上げましたが、その中の「子ども子育て支援金」の詳細が公表されました。この支援金は医療保険の保険料と併せて徴収されるため、会社は毎月給与から控除することが必要となります。従業員の給与の手取りが減ることになるため、担当者が説明を求められることも想定されます。今回は制度の内容について詳しくみていくこととします。

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制度の目的と給付の中身

我が国は少子化・人口減少が危機的な状況にあるため、「こども未来戦略(令和5年12月22日)」において、児童手当の抜本的な拡充など、子ども子育て政策の給付拡充(下記拡充される(された)給付の例)を図ることにしました。これらを実現するためには現状の財政制度の見直しだけでは賄いきれないため、新たな安定的財源を確保するために制度化されたものが「子ども子育て支援金」です。本制度は令和8年度から令和10年度にかけて段階的に構築するとされており、徐々に負担する額は重くなるようになっています。

<拡充される(された)給付の中身>

(1)児童手当の拡充

子育てを支援する基礎的な経済支援として以下を実施。

改正前 改正後 実施時期
・子供2人と配偶者の年収が103万円以下の場合で主たる生計者の年収が960万以上は受給制限あり。 ・所得制限を撤廃  

 

 

令和6年10月より

※実施ずみ

 

 

・児童手当は中学生以下が支給対象 ・支給対象を高校生まで拡大
・3歳未満…月15,000円

・3歳~小学生
第1子2子…月10,000円
第3子以降…月15,000円

・中学生…月10,000円

・3歳未満
第1子2子…月15,000円
【3子以降…月30,000円】
・3歳~高校生…月10,000円
【3子以降…月30,000円】
・支払い回数
 4か月分ずつ年3回
・支払い回数
2か月分ずつ年6回

(2)妊婦のための支援給付の創設(令和7年4月より※実施ずみ

令和7年4月1日以降に出産される方を対象に「妊婦支援給付金」を支給。妊婦支援給付金は1回目給付・2回目給付に分けて支給(合計10万円)。

(3)出生後休業支援給付金(令和7年4月より※実施ずみ

男女共に出生後一定期間内に子育ての休業等をした場合、本来の育児休業給付金67%に13%加算されて支給される給付金。

(4)育児時短就業給付金(令和7年4月より※実施ずみ

2歳未満の子の養育のために、育児休業給付の対象の育児休業から引き続いて、育児時短就業を開始した雇用保険被保険者に時短時賃金額の10%相当額を支給。

(5)こども誰でも通園制度(令和8年4月より)

0歳6か月から満3歳 未満の保育施設に通っていない子どもを対象に、保護者の就労要件を問わず、月10時間まで保育所などを利用できる新制度。令和8年度から全国自治体で本格的に開始。

(6)育児期間中の国民年金保険料免除(令和8年10月より)

自営やフリーランスなど国民年金第1号被保険者が子育てする際、子どもが1歳になるまで国民年金保険料が全額免除される制度(免除期間中は将来の年金額に影響しない)。

支援金の負担(控除)額

負担する金額は会社員等の被雇用者の場合、年収(毎月給与+賞与額合計)に支援金率0.23%を掛けた額を事業主と本人が半分ずつ負担する仕組みになっています。この支援金は健康保険料の控除と同時に行われますので、本人負担分は会社が毎月の給与から健康保険料と同様に控除する必要があります

以下、料額表等で具体的に確認してみましょう。

<令和8年3月分(4月納付分)健康保険・厚生年金保険の保険料額表>

全国健康保険協会(協会けんぽ)令和8年度保険料額表より、東京都の一部を抜粋

標準報酬 報酬月額 健康保険料・介護保険料 子ども
子育て支援金
厚生年金保険料
2号非該当 介護2号該当
等級 月額 円以上
円未満
9.85% 11.47% 0.23% 18.30%
全額 折半 全額 折半 全額 折半 全額 折半
1 58,000 63,000未満 5,713 2,856 6,652 3,326 133.4 66.7 16,104 8,052
2 68,000 63,000~73,000 6,698 3,349 7,799 3,899 156.4 78.2
 
18 220,000 210,000~230,000 21,670 10,835 25,234 12,617 506.0 253.0 40,260 20,130
19 240,000 230,000~250,000 23,640 11,820 27,528 13,764 552.0 276.0 43,920 21,960
20 260,000 250,000~270,000 25,610 12,805 29,822 14,911 598.0 299.0 47,580 23,790

令和8年4月分(5月納付)より給与から控除が必要↑

 

市町村国民健康保険 支援金額年収別試算表> *こども家庭庁HPより

年収 80万円 100万円 150万円 200万円 250万円 300万円
世帯(夫婦と子のいる世帯)あたり50円丸め 50円 50円 250円 400円 550円 650円

後期高齢者医療制度 支援金額年収別試算表>*こども家庭庁HPより

年収 80万円 100万円 125万円 150万円 175万円 200万円
被保険者1人あたり50円丸め 50円 50円 50円 50円 100円 200円

 

 

 

 

まとめ

これまでにない控除項目の新設となります。金額の反映や給与明細書への記載につき、適切に対応する必要があります。また、手取り額に影響するため、制度の目的や中身などについて、事前に従業員に周知しておくことが望ましいと思われますが、個別に質問を受けたときにも適切な説明ができるように担当者は制度内容をしっかり理解しておくようにしましょう。

 

 

 

 

 

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特定社会保険労務士小野 純

一部上場企業勤務後、2003年社会保険労務士小野事務所開業。2017年法人化。企業顧問として「就業規則」「労働・社会保険手続」「各種労務相談」「管理者研修」等の業務に従事。上記実務の他、全国の商工会議所、法人会、各企業の労務管理研修等の講演活動を展開中。
主な著作:「従業員100人以下の事業者のためのマイナンバー対応(共著)」(税務研究会刊)、「社会保険マニュアルQ&A」(税研情報センター刊)、「判例にみる労務トラブル解決のための方法・文例(共著)」(中央経済社刊)、月刊誌「税務QA」(税務研究会)にて定期連載中。

» ホームページ 社会保険労務士法人ソリューション

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