内縁の妻や同性パートナーにも相続権がある?
[Q&Aで分かる 相続・生前贈与のウソ・ホント]
2021/12/08
内縁の妻や同性パートナーにも相続権がある?
[Q&Aで分かる 相続・生前贈与のウソ・ホント]
Q.内縁の妻や同性パートナーにも相続権がある? |
A.(ウソ)今の日本の法律では内縁の妻や同性パートナーに相続権は認められません。しかし、「遺言」「養子縁組」によって相続権が生じたのと同じような効果を得ることは可能です。
※この解説は、書籍「巷でよく聞く相続・贈与のウソ?ホント!?」(あいわ税理士法人 編)より一部を抜粋して掲載しております。
[解説]
相続権は民法で定められており、相続権を持つ人を相続人といい、配偶者は常に相続権を持ち相続人として遺産を取得することができます。
配偶者として認められるためには法律婚をしている必要がありますが、日本では婚姻は夫婦同姓にしなければならない、男女でなければならないといった諸々の制約から法律婚を選択しない人も一定数います。しかし、法律的に婚姻関係にない内縁関係者や同性パートナーには相続権がありません。
一方、別居中の妻などは、事実上離婚をしていても戸籍上婚姻関係にあれば相続権があるので、相続人として遺産を取得することができます。
つまり、被相続人と同居している内縁の妻であっても、その被相続人に別居中の妻がいる場合、相続権は別居中の妻にあるので、相続が発生した場合には同居している内縁の妻は住居を失う可能性もあるということです。
内縁関係者や同性パートナーが被相続人と一緒に住んでいた住居や築き上げてきた財産を承継するためには、「遺言」「養子縁組」といった方法を採ることが考えられます。これにより相続権を得たのと同じような効果を生むことができます。
①遺言
被相続人の生前に内縁関係者や同性パートナーに財産が取得できるよう遺言を書いておく方法です。ただし、一定範囲の相続人には遺留分という最低限の遺産の取り分がありますので、遺言の場合にはこの点に注意する必要があります。
また、遺言により財産を取得することができても相続人にはなれないので、相続税を計算する際の基礎控除額の計算にこれらの人の分は含まれないほか、相続税の負担を大きく軽減することができる相続税の配偶者控除、小規模宅地の特例などは適用できません。さらに相続税は2 割加算(※)されてしまいます。
②養子縁組
内縁関係者というより同性パートナーに財産を残すための対策として考えられる方法です。養子縁組は自分の子として迎え入れることですので、被相続人と同性パートナーとの間で親子関係を作ってしまうという奇抜な方法です。養子は自分の子として相続人にカウントされるため、被相続人の養子となった同性パートナーは法的に相続権が認められ相続人として財産を取得することが可能です。さらに親子関係にすれば姓を同じにすることが可能であり、同性同士であっても婚姻に近い関係を生み出すことも可能です。
この場合には相続税の計算において小規模宅地の特例を適用できる可能性があり、また、2 割加算は適用されません。
なお、これらの方法以外にも生命保険などの活用により財産を残すことも可能です。
このように、相続権がない内縁関係者や同性パートナーに財産を残す場合は、生前に対策を講じることが必要です。
(※) 2 割加算
被相続人の配偶者、子、父母以外の人が、相続財産を取得した場合には、各人ごとに算出した相続税に2 割上乗せをする制度です。
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