亡くなる前に預金口座から現金を引き出せば相続税はかからない?
[Q&Aで分かる 相続・生前贈与のウソ・ホント]
2022/01/06
亡くなる前に預金口座から現金を引き出せば相続税はかからない?
[Q&Aで分かる 相続・生前贈与のウソ・ホント]
Q.亡くなる前に預金口座から現金を引き出せば相続税はかからない? |
A.(ウソ)被相続人の預金口座から引き出した現金が相続時に残っていた場合には、その現金は相続税の課税対象とされます。
※この解説は、書籍「巷でよく聞く相続・贈与のウソ?ホント!?」(あいわ税理士法人 編)より一部を抜粋して掲載しております。
[解説]
被相続人の相続財産に含まれる現預金は、なにも相続時現在の預金残高に限られるわけではありません。被相続人の亡くなった日における現預金のすべてが相続財産として取り扱われます。したがって、被相続人が亡くなる前に被相続人の預金口座から現金を引き出していたとしても、その現金が相続時に残っていれば、被相続人の現預金として相続税の課税対象とされます。
よく耳にする話として、「被相続人の容態が思わしくない、このまま亡くなってしまうと預金口座が凍結され、葬儀費用などを引き出せなくなってしまう。亡くなる前に引き出しておこう。」と考えて、亡くなる直前に被相続人の預金口座から葬儀代に充てるための現金をまとめて引き出すケースが見受けられます。この場合、亡くなる前に口座から引き出した現金は相続財産に含まれますが、葬儀代に使った部分は被相続人のマイナスの財産として取り扱われるため、相続税の計算上、相続財産からその葬儀代相当額を控除することができます。
したがって、亡くなる前に預金口座から引き出した現金のうち葬儀代に充てた分は実質的に相続財産に含まれず、余った部分が相続税の課税対象とされます。
なお、被相続人が亡くなる前に預金口座から引き出した現金を意図的に相続財産に含めなかった場合には、税務当局から財産隠しと認定され、重いペナルティが課されますので十分に注意する必要があります。
これに加えて、いわゆる「タンス預金」にも十分注意する必要があります。被相続人のタンス預金は、当然に相続財産として取り扱われますが、相続人がその存在を知らないケースもあり、相続税の申告を行う上で、意図せず相続財産として計上されない(相続税申告から漏れてしまう)ことがあります。タンス預金が税務調査で見つかった場合、例え相続人に悪意がなく本当にその存在を知らなかったとしても、税務当局は意図的な財産隠しとして認定してくるケースは珍しくありません。この場合、先述した通り、重いペナルティが課される可能性がありますので十分に注意する必要があります。
ところで、現在の法律では、被相続人が亡くなり、仮にその後預金口座が凍結された場合であっても、一定額までは引き出すことが可能であるため、慌てて預金口座から現金を引き出す必要はありません。
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高度な専門知識と豊富な経験を持つ税務・会計のプロフェッショナル集団。約8割が有資格者と圧倒的に高い専門家比率が強み。東証一部をはじめ、新興市場に上場する企業からIPOを目指す成長企業、非上場の中堅オーナー企業を中心にサービスを提供。サービス内容は、IPO支援、組織再編、連結納税の導入、M&Aアドバイザリー、財務税務デューデリジェンス、国際税務、事業承継、役員給与設計、HD化支援等多岐に渡る。
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