現金より不動産の方が生前贈与に向いている?
[Q&Aで分かる 相続・生前贈与のウソ・ホント]
2022/02/17
現金より不動産の方が生前贈与に向いている?
[Q&Aで分かる 相続・生前贈与のウソ・ホント]
Q.現金より不動産の方が生前贈与に向いている? |
A.(ウソ) 現金の方が生前贈与に向いています。
※この解説は、書籍「巷でよく聞く相続・贈与のウソ?ホント!?」(あいわ税理士法人 編)より一部を抜粋して掲載しております。
[解説]
不動産を贈与した場合には、受贈者はほぼ間違いなく贈与税がかかります。
なぜならば、不動産の価額というのは通常、贈与税の基礎控除額である110万円を超えているためです。
不動産を小分けにして贈与すれば、贈与税がかからない可能性もゼロではないですが、現実的ではありません。複数人で一つの不動産を所有することになるため、所有権が複雑になりますし、贈与後に売却しようと思っても自分の意思のみでは売却することもできなくなります。また、小分けにするため手続きにも手間がかかりますし、司法書士などの専門家に依頼することになれば、その分出費がかさむことにもなります。
ところで、不動産の価額は変動するものです。今後確実に不動産価額が上昇すると見込まれる局面では、値上がり益相当額を子や孫の受贈者に移転することができるため、不動産の贈与も有効な手段の一つではありますが、贈与時よりも相続時における不動産価額が下がっていた場合には贈与税が高くつくため、不利な状況で不動産を移転させてしまったことになります。
また、不動産は贈与によって取得すると、贈与税とは別に不動産取得税や登録免許税がかかります(相続の場合には、不動産取得税はかかりません)。取得後には固定資産税もかかるのです。
なお、不動産は相続においては小規模宅地等の特例の適用可能性がありますが、贈与においてはその特例はありません。一方、現金は価額変動によるリスクがなく、贈与する額は自分で決められるため、贈与税の基礎控除額110万円以下で贈与していくことも可能です。
また、現金の贈与に係る税金は贈与税だけであり、その他の出費を考える必要はありません。
さらに、現金は相続においては特例がありませんが、贈与においては非課税とされるいくつかの特例があります。非課税特例の詳細は本書に記載しています。
したがって、現金の方が生前贈与に向いていると言えるでしょう。
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高度な専門知識と豊富な経験を持つ税務・会計のプロフェッショナル集団。約8割が有資格者と圧倒的に高い専門家比率が強み。東証一部をはじめ、新興市場に上場する企業からIPOを目指す成長企業、非上場の中堅オーナー企業を中心にサービスを提供。サービス内容は、IPO支援、組織再編、連結納税の導入、M&Aアドバイザリー、財務税務デューデリジェンス、国際税務、事業承継、役員給与設計、HD化支援等多岐に渡る。
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