離婚時の財産分与で取得した財産には、贈与税はかからない?
[Q&Aで分かる 相続・生前贈与のウソ・ホント]
2022/04/21
離婚時の財産分与で取得した財産には、贈与税はかからない?
[Q&Aで分かる 相続・生前贈与のウソ・ホント]
Q.離婚時の財産分与で取得した財産には、贈与税はかからない? |
A.(ホント) 財産分与は夫婦が共同生活をしていくなかで形成された財産を清算するという事であって、新たに財産を取得するわけではないため、基本的に贈与税は発生しません。
ただし、財産分与で得た財産が常識の範囲を超えて多額である場合や、贈与税や相続税を免れる為に不正な離婚が行われたと認められるような場合は贈与税が課される可能性があります。
また、財産を取得する側において原則贈与税は発生しませんが、財産を与える側において譲渡所得税が発生する場合がありますので、注意が必要です。
※この解説は、書籍「巷でよく聞く相続・贈与のウソ?ホント!?」(あいわ税理士法人 編)より一部を抜粋して掲載しております。
[解説]
離婚に伴う財産分与については、相手方から贈与を受けたのではなく、財産分与請求権に基づいた財産の清算として取り扱われ、もともと自分の持分であったものとみなされるため、贈与税は課税されません。
ただし、一般的には財産分与の割合は2 分の1 程度といわれており、財産分与の金額が多すぎると判断される場合については贈与税が課税される場合があるため注意が必要です。
もっとも、税務上は2 分の1 を超えた場合は必ず贈与税がかかるという明確な規定があるわけではなく、そもそも財産分与は夫婦間の様々な事情を考慮して割合が決定されるわけですので、税務上も慎重な判断が必要とされます。
このように、財産分与について原則贈与税は発生しませんが、この税務上の取扱いを逆手にとり、意図的な財産分与を行うことによって相続税や贈与税の課税を回避する行為が想定されるため、租税回避が目的と認められる離婚が行われた場合は贈与税が課税される可能性があります。
しかし、税務当局が租税回避目的の離婚であるかどうかを見抜き、立証することは通常困難であると思われますので、よほどのことがない限り、実務上、贈与税が課税される可能性は限定的と言えるでしょう。
一方財産を与える側については譲渡所得税が発生する場合があるため注意が必要です。
財産分与として現金を与える場合は、現金の譲渡という概念は無いため譲渡所得税はかかりませんが、土地や建物などの不動産や、株式やゴルフ会員権などの財産を与える場合で財産分与時の時価が取得価額よりも上がっているような場合には譲渡所得税が発生します。
譲渡所得税は、例えば土地の場合、土地売却時の収入から土地購入に要した金額と譲渡費用を差し引いた利益相当額が譲渡所得として課税されますので、財産分与で不動産を与えたとしても収入があるわけでは無いため、一見すると譲渡所得税は発生しないようにも思えます。
これは、本来お金をもらって売却を行った場合には譲渡所得が発生し納税が生じるはずであるのに、無償で譲渡することによって、本来納税すべき税金がゼロとなってしまうことを防ぐため、収入が無いにも関わらず、あたかもお金をもらって資産を売却したものとみなし、譲渡所得税を納税させるという税務上の規定によるものです。
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あいわ税理士法人について
高度な専門知識と豊富な経験を持つ税務・会計のプロフェッショナル集団。約8割が有資格者と圧倒的に高い専門家比率が強み。東証一部をはじめ、新興市場に上場する企業からIPOを目指す成長企業、非上場の中堅オーナー企業を中心にサービスを提供。サービス内容は、IPO支援、組織再編、連結納税の導入、M&Aアドバイザリー、財務税務デューデリジェンス、国際税務、事業承継、役員給与設計、HD化支援等多岐に渡る。
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