夫婦間における贈与・相続の優遇措置
[アクタス税理士法人 News Letter2022.8]

夫婦間における贈与・相続の優遇措置[News Letter

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夫婦間においては、将来における生活の保障等のために生前に贈与を行ったり、相続の際には相続後の生活基盤を維持するために優先的な財産の移転を行ったりすることがあります。そのような夫婦間の贈与や相続については、通常に比べて優遇措置が設けられています。今回は、それら夫婦間における贈与や相続時における優遇措置について、制度の概要と留意点について解説していきます。

 

 

■ 贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)

婚姻期間(民法に規定する婚姻の届出があった日から贈与の日までの期間)が20年以上の配偶者から居住用不動産又はその取得資金の贈与を受けた場合に下記要件を満たすときは、贈与税の課税価格の計算上、その贈与を受けた居住用不動産等の課税価格から2,000万までの金額を控除することができます。

≪留意点≫
・贈与税の基礎控除110万円とあわせて、贈与税の控除額の最大額は2,110万円となります。
・贈与に際しては不動産取得税、登録免許税等の流通税が発生します。
・相続税の計算における、相続開始前3 年以内に贈与を受けた財産の加算からは除外されます。

 

 

■ 配偶者に対する相続税額の軽減措置

被相続人の配偶者については、その配偶者が取得した遺産額が、相続財産の合計額のうち配偶者に係る法定相続分相当額までである場合、又は1 億6,000万円以下である場合には相続税がかからないこととされています。

≪留意点≫
・相続税の申告書を税務署に提出することで適用できることとなります。
・申告期限までに遺産分割等により配偶者が実際に取得した財産に限って適用されます。遺産分割協議が揉めて未分割であった場合には適用されませんので注意が必要です。
・適用に際しては2次相続時の相続税額までシミュレーションし、効果的に税額が軽減できるか検討した上で、遺産分割協議を進めることをお勧めします。

 

 

■ 宅地を相続した際の相続税の課税価格計算の特例(以下「小規模宅地等の特例」)

被相続人の居住の用に供されていた宅地等を配偶者が相続により取得する場合、限度面積330㎡までの部分に限り、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、80%の割合を減額することができます。上記配偶者に対する相続税額の軽減と組み合わせることによって、相当な軽減を受けることができます。

≪留意点≫
・配偶者に対する相続税額の軽減措置と同じく「提出」及び「分割」要件が生じます。
・被相続人の同一生計親族の居住の用に供していた宅地等も適用可能となります。
・配偶者が相続で取得した際は、「居住要件」も「所有要件」もありません。例えば、申告期限内に売却を行っても特例は適用可能となります。

≪宅地等を同居親族が相続した場合≫
被相続人の居住の用に供されていた宅地等を同居親族が相続により取得する場合には、相続税の申告期限までこの宅地等を「所有」し「居住」を継続したときに限り、本特例を受けられます。

 

 

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