相続した空き家の譲渡特例について
[アクタス税理士法人 News Letter2024.12]
2024/12/20
相続した空き家の譲渡特例について[News Letter]
増えている空き家問題に対処するため空家法が改正され、管理不全空家については行政が指導・改善を促すことができるようになっております。税法では、相続した空き家を売却した場合、一定の要件のもと売却益から3,000 万円を控除できる制度が手当てされています。この空き家売却の特例について、令和6 年1 月からは、買主が家屋の耐震改修や取壊しを実施しても認められるように要件が緩和されています。利用にあたっては、細かい要件の確認や事前準備が必要となるため、今回はこの特例について解説していきます。
■ 制度の概要
相続又は遺贈により取得した空き家を売却し、下記の要件を満たすときは、その空き家を譲渡した利益から最高3,000 万円まで控除することができます。
■ 特例を受けるための事前準備
この特例を適用するためには、空き家の所在地の市区町村で発行される「被相続人居住用家屋等確認書」が必要となります。申請書の受理から確認書の交付まで通常1 週間から10 日程度の日数を要します。書類の不備による追加書類の提出などがありますと、さらに時間を要すことになります。スケジュールに余裕をもって、確認書の発行申請の手続きを行うようにしてください。
●被相続人居住用家屋等確認書
この確認書は、相続したときから売却に至るまで空き家の状態であったことを所在地の市町村役場が確認する書面となります。市町村役場には、申請書と必要書類一式を提出することとなりますが、必要書類として、売買契約書の写し、電気・ガス等の閉栓証明書、敷地の使用状況がわかる写真などが必要となるケースもあります。申請のための書類の準備には、時間を要することがありますので注意が必要です。
●被相続人が老人ホーム等に入居していた場合の留意点
この特例は、被相続人が要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所していた場合でも適用することができます。「被相続人居住用家屋等確認書」の申請にあたり、被相続人が要介護認定を受けていたことを確認できる書類や施設の名称、所在地、種類を確認できる入所時の契約書等の書類の準備が必要となります。
●買主が居住用家屋の耐震改修や取壊しする場合の留意点
買主による工事等でこの特例の適用を受ける場合においても、確定申告書に「被相続人居住用家屋等確認書」を添付する必要があります。確認書の申請にあたり、必要書類の準備は買主の協力も得ながら進めることになります。耐震改修や取壊しは譲渡年の翌年2 月15 日までに工事等が完了している必要があり、トラブルとならないように、耐震改修や取壊し時期などを売買契約書に記載しておくことが必要となります。
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