令和5年度税制改正 暦年課税制度の贈与
[アクタス税理士法人 News Letter2023.3]
2023/03/29
令和5年度税制改正 暦年課税制度の贈与[News Letter]
令和5年度の税制改正では、以前より検討されておりました「相続税と贈与税の一体課税」についての改正が織り込まれております。暦年課税制度の贈与については、相続財産への足し戻し期間が 3 年から 7 年に延長され、また相続時精算課税制度については年間 110 万円の基礎控除が創設されるなど、大きな改正があります。前号の「相続時精算課税制度」の解説に続き、今号では「暦年課税制度の贈与(以下、暦年贈与)」について生前贈与加算を中心にご紹介します。
■ 暦年贈与における生前贈与加算(現行制度)
相続人が被相続人(亡くなった方)から生前に受けた贈与のうち、死亡前 3 年以内の贈与については、相続税の対象財産に加算する必要があります。これを「生前贈与加算」といいます。また加算された贈与財産について贈与税が発生している場合には、相続税の計算より贈与税額を控除されます。
【生前贈与加算の対象者】
① 相続または遺贈により財産を取得した者
② みなし相続財産(生命保険金や死亡退職金等)を取得した者
③ 相続時精算課税制度の適用を受けた贈与により財産を取得した者
※ただし贈与税の配偶者控除、住宅取得資金等、教育資金、結婚・子育て資金による非課税適用を受けた一部の贈与財産を取得した者は、加算対象者から外れます。
■ 暦年贈与における令和5年度税制改正の内容
●概要
令和 5 年度税制改正により生前贈与加算制度については、その加算対象期間が現行の 3 年から 7 年に延長されることとなりました。延長される 4 年間(相続開始前 3 年から 7 年以内の期間)に受けた贈与については、総額 100 万円まで相続財産に加算しない措置が設けられます。この改正は、令和 6 年 1 月 1 日以降に贈与された財産について適用されます。なお生前贈与加算の対象者について、現行制度から変更はありませんでした。
●加算期間の見直しに伴う経過措置のイメージ
令和 6 年 1 月 1 日以降の贈与について適用されるため、実際の加算期間の延長は、令和 9 年 1 月 1 日以降の相続から順次生じることになり、加算期間が 7 年となるのは、令和 13 年 1 月 1 日以降の相続となります。
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