公正証書遺言の作成方法と留意事項
[アクタス税理士法人 News Letter2023.6]

公正証書遺言の作成方法と留意事項[News Letter

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遺言とは、遺言作成者が自分の死後のために、主に財産の処分について生前に自分の意思を記したものです。2023 年5 月には政府がデジタル遺言制度創設に向けて検討を開始していることがニュースになり、今後は自分で容易に遺言を作成することができることも期待されます。現状の遺言としては、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」がありますが、今号では公正証書遺言の作成方法について紹介します。

 

 

■ 公正証書遺言

公正証書遺言は、原則として公証役場で作成するもので、遺言者が公証人の面前で、遺言の内容を口述し、それに基づいて公証人が文章にまとめて作成する遺言です。高齢・病気のため公証役場に行くことが難しい場合は、公証人に自宅や病院に出張してもらって作成することもできます。また、証人2 人の立ち合いが必要となります。

公正証書遺言は、公証人が作成して公証役場に原本が保管されるため、手続き上の不備で遺言が無効になるリスクや、紛失や改ざんのリスクがありません。また、家庭裁判所の検認の手続きも不要です。

 

1.遺言内容の整理
まずは預金、株式や不動産などの財産リストを作成し、誰に、何を、どれだけ相続させるのか決めます。

 

2.公証人と事前打ち合わせ
最寄りの公証役場に連絡をして相談します。基本的には以下の資料が必要となるため、事前に準備をしておくと、公証人との相談もスムーズに行うことができます。

 

3.公証役場にて公正証書遺言を作成
実印を持参し、証人2 名(証人は認印を持参)とともに公証役場にて手続きをします。公証役場における作成手数料は主に財産の額に応じて変動し、例えば妻に1,000 万円、長男に3,000 万円相続させる遺言書を書いた場合の手数料は51,000 円+遺言書のページ数による手数料になります。

 

 

■ 遺言作成時に考慮した方がよい事項

1.遺留分
遺言がある場合には遺言者の意思が尊重されますが、相続人の遺留分(民法上保護されている相続人の最低限の権利)を侵害していた場合には、遺留分侵害額請求が起こるなど、相続人間での争いの種になることがあるため、遺留分を考慮した遺言作成を意識する必要があります

 

2.予備的遺言
遺言作成者が死亡して相続が開始する前に受遺者が死亡していた場合は、その受遺者に対する内容部分は無効になり、受遺者が取得する予定だった財産は分割協議が必要になります。そのような事態を避けるために、受遺者が亡くなった場合の取得者を予め指定する予備的遺言を記載することができます。

 

3.付言事項
付言事項とは、遺言と異なり法的な効力を有しませんが、遺言作成者が遺言を書いた動機や財産の配分の理由、葬式の方法や遺された家族への感謝やメッセージなどを記載するものです。作成者の気持ちを相続人等に伝えることができるため、遺言の内容で揉めることを防ぐためにもメッセージを残すことは有用と考えられます。

 

4.遺言執行者の指定
遺言執行者とは、遺言内容を実現するために手続きを行う人のことです。遺言執行者は預貯金などの金融資産に関する口座解約や名義変更、不動産の名義変更、貸金庫に関する開扉などを行うことができます。作成した遺言書内で遺言執行者を指定することができ、その遺言執行者は自己の責任で専門家等の第三者に遺言の執行を委託することもできます。

 

 

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