マンションの相続税評価の見直しについて
[アクタス税理士法人 News Letter2023.7]

マンションの相続税評価の見直しについて[News Letter

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タワーマンションなど高額な不動産を購入することにより相続税を節税できる仕組みが問題となっていることもあり、国税庁はマンションの相続税評価の算定方法を見直す方向である旨の報道がありました。新たな相続税評価の算定方法については、マンションの相続税評価が市場での売買価格を大きく下回った場合に補正することが検討されているようです。今回は改正が検討されているマンションの相続税評価の見直しについてご紹介します。

 

 

■ 現行のマンションの評価方法

相続税を計算する際に用いる不動産の相続税評価は、建物は固定資産税評価を用いて、土地は路線価に面積を掛けて相続税評価を計算します。マンションの1 室を評価する場合には、建物は固定資産税評価を用いて、土地はマンションの敷地全体の相続税評価を計算して敷地に対する持分の割合を掛けて計算します。

 

 

■ 見直しの背景

タワーマンションなど高額な不動産を購入し、相続税評価と市場価格の乖離を利用して相続税を引き下げる節税対策として使われていました。国税庁の調べによると、全体の約65%のマンションの相続税評価が市場価格の半額以下となっているようです。このように相続税評価が市場価格と乖離してしまう主な要因は、以下の2 つが挙げられます。

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① 建物の相続税評価が市場価格と乖離する要因
建物の相続税評価は固定資産税評価を用いることになります。市場価格は築年数や階数で売買価格が大きく変わりますが固定資産税評価は市場価格ほど築年数や階数の影響を受けないため、高層階のマンションほど相続税評価が市場価格に比べて低くなります

② 土地の相続税評価が市場価格と乖離する要因
マンションの土地の相続税評価は、マンションの敷地全体の評価額に敷地権割合を乗じて計算されるため、戸数が多いマンションほど1 戸当たりの土地の持ち分割合が小さくなり(敷地権割合が小さくなり)相続税評価が市場価格に比べて低くなります

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■ 新たに検討されているマンションの評価方法

マンションの相続税評価が市場価格の6 割に満たない場合には、乖離が小さくなるように現行の相続税評価に補正が加えられることで検討されています。新たに検討されているマンションの評価方法は令和6 年1 月1 日以降に発生した相続から適用することで検討されています。具体的な算定方法は以下の通りです。

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築年数や階数などに基づいて、相続税評価と市場価格が乖離している割合(乖離率)を計算する。
② 相続税評価が市場価格の6 割に満たない場合、通常の相続税評価に乖離率と0.6 を掛ける
③ 相続税評価が市場価格の6 割を超えている場合、今まで通りの相続税評価で計算する。

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■ 今後の動向について

マンションの相続税評価の改正がされた場合、既にマンションを所有されている方や今後マンションの購入を検討されている方には影響が出る可能性があります。特にタワーマンションなどの相続税評価と市場価格との乖離が大きい物件を所有されている方にとっては相続税の計算に影響を与えることになります。新たな算定方法については令和6 年1 月1 日以降のスタートに向けて制度の調整が進められており、今後の改正の動向に注目です。

 

 

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