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② 更に2つの選択

 退職一時金については、更に2つの選択があります。退職金の支払を受けるときまでに「退職所得の受給に関する申告書」を勤めていた先に提出したかどうかで取扱いが違います。

(イ)「退職所得の受給に関する申告書」を提出している

 原則として確定申告が不要です。この場合、源泉徴収だけで所得税及び復興特

 別所得税の課税関係が終了します。所得税率は通常の〔2〕(1)①と同じで

 すが、他の所得とは分離課税となっています。ただし、所得控除の余剰額があ

 る場合には確定申告をすることもできます。

(ロ)「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない

 退職金等の支払金額の20.42%の所得税額及び復興特別所得税額が源泉徴収さ

 れます。

「ふるさと納税」の仕組みと手続き(6/7)

2020.1.14 ※本原稿は令和元年11月末現在の法律に基づいています。

〔6〕留意点と最近の動向

 退職金は、一時金で受け取る場合と年金で受け取る場合がありますが、ここでは一時金で受け取るものに限定して説明をします。なお、年金で受け取る場合は通常の確定申告と同様になります。

退職所得の税額計算を示すと次の通りです。

(退職金収入-退職所得控除)✕ 1/2 ✕所得税率

退職所得控除は以下のようになっています。

① 退職金の所得の計算

 例えば、勤続年数30年の場合、退職所得控除額は

 800万円+70万円×10年=1,500万円となります。

 

 仮に退職一時金が2,000万円だとすると退職所得は

 (2,000万円-1,500万円)×1/2=250万円となります。

(1)退職金とふるさと納税

③ 退職金にふるさと納税の適用は?

 残念ながら退職所得となる退職一時金の場合、住民税の所得割額について、ふるさと納税の適用はありません。これは、退職所得控除の額が大きいことや1/2で計算するなど、税制上の優遇がなされているためです。

 なお、退職年金の場合は、雑所得なので対象となります。

(2)令和2年1月1日からの所得税・住民税

 令和2年1月1日からの所得税(住民税では令和3年度に該当)について給与所得控除・公的年金等控除の控除額や基礎控除の控除額が変更されます。この改正に伴い、ふるさと納税への影響があります。

① 主な改正の概要

 (イ) 給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への移行

  給与所得控除額・公的年金等控除額が各10万円引下げられます。したがって、給与所得や公的年金等の雑所得は10万円増加することになります。

 また、基礎控除額は10万円引き上げられます。

 給与所得と公的年金等の雑所得がある人は、片方の10万円の控除のみが減額されるように調整がされます。結果として、基本的にはプラスマイナスゼロとなり課税所得及び税額には影響がありません。

 ただし、給与所得や公的年金等の雑所得がない人で、不動産所得や事業所得といったその他の所得がある人は、単に10万円分の基礎控除のみが増加しますので、課税所得及び税額は減少することになります。

 ・給与所得控除・・・10万円の減

 ・公的年金等控除・・・10万円の減

 ・基礎控除・・・10万円の増

 (ロ) 給与所得控除の見直し

 給与所得についての改正を(イ)を含めて示すと次の通りです。

 ㋑ 給与所得控除額を一律 10万円引下げ。

 ㋺ 給与所得控除の上限額が適用される給与収入金額を 850万円(控除上限

  額195万円)に引下げ。

 ㋩ 給与収入金額850万円超の場合、23歳未満又は特別障害者を扶養する

  者等については、所得金額調整控除あり。

 (ハ)公的年金等控除の見直し

 公的年金等の雑所得についての改正を(イ)を含めて示すと次の通りです。

 ㋑ 公的年金等控除額を一律 10 万円引下げ。

 ㋺ 公的年金等の収入金額が 1,000 万円超の場合、公的年金等控除の上限が

  設けられた。

 ・他の所得が1,000万円以下       ・・・195万5,000円

 ・他の所得が1,000万円超2,000万円以下 ・・・185万5,000円

 ・他の所得が2,000万円超        ・・・175万5,000円

 (二) 基礎控除の見直し

 基礎控除についての改正を(イ)を含めて示すと次の通りです。

 ㋑ 所得税(改正前一律38万円)

 (合計所得金額)

  2,400万円以下        ・・・48万円

  2,400万円超 2,450万円以下  ・・・32万円

  2,450万円超 2,500万円以下  ・・・16万円

  2,500万円超         ・・・0円

 

 ㋺ 住民税(改正前一律33万円)

 (合計所得金額)

  2,400万円以下        ・・・43万円

  2,400万円超 2,450万円以下  ・・・29万円

  2,450万円超 2,500万円以下  ・・・15万円

  2,500万円超         ・・・0円

 

② ふるさと納税への影響

 ➀で取り上げた税制改正では、所得税や住民税が減額になる人、変わらない人、増額になる人が出てきます。ふるさと納税制度は、所得税や住民税の寄附金控除に基礎があります。また、所得税や住民税の税額を控除するという仕組みです。このことを踏まえると、今回の改正で税額が、減額、不変、増額されれば、それに連動して、ふるさと納税の上限も減額、不変、増額することが予想されます。

 そこで、大まかに減額、不変、増額する人を分類すると次のようになります。

 (イ)減額する人・・・給与所得、公的年金等の雑所得以外の所得のみある人

 (ロ)変わらない人・・・給与所得、公的年金等の雑所得以外の所得のある人

 (ハ)増額する人・・・比較的高額収入の人

 ふるさと納税の最適点を求めるには、それぞれご自身の収入予想によって行動する必要があります。今回の改正は、その収入予測に影響を少なからず与えるものと言えるでしょう。

次ページ:〔7〕最後に

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