2019.1.15 ※本原稿は平成30年11月末現在の法律に基づいています。

「ふるさと納税」の仕組みと手続き(2/7)

〔2〕内容

(1)控除される金額の計算

 ふるさと納税は、各自治体に寄附をした金額に応じて所得税及び個人住民税が減額される寄附金控除として取り扱われます。具体的には、①所得税分、②住民税分、③住民税の特例分の3つに分かれます。

① 所得税分

 寄附金(総所得金額等の額の40%を限度)から2,000円を差し引いた金額を所得金額から控除します。つまり所得税においては、寄附金控除は税額控除制度ではなく所得控除という形式で控除がなされ所得税額の減額となります。結果として以下の金額が所得税額から控除されることになります。

(寄附金ー2,000円)×  所得税率 ※

※復興特別所得税(所得税率×2.1%)を加算した率となります。

② 住民税分

 寄附金(総所得金額等の額の30%を限度)から2,000円を差し引いた金額の10%を税額控除します。

(寄附金ー2,000円)×  10% ※

※標準税率の市町村民税6%、都道府県民税4%

(ただし、指定都市の場合は市町村民税8%、道府県民税2%)

③ 住民税の特例分

 住民税所得割額(以下、住民税)の20%を限度に、寄附金から2,000円を差し引いた金額に下表の割合を乗じた金額を税額控除します。イメージとしては、従来の寄附金控除制度では減額することができなかった税額の残りの部分を網羅する形で特例制度を設けているといえます。そのため自治体を選択して行った寄附の金額が住民税額相当額を納税したような感じを受ける制度となっています。

 しかしながら、2,000円分は控除できないこととなっており、また無制限で控除を認めているわけではなく、特例分について住民税の所得割額の20%といった限度を設けているという点では納税という表現は勘違いを生むことになります。

(寄附金ー2,000円)×  下表の割合

※ただし、住民税所得割額の20%を限度とします。

※割合の算出のしかた

割合=100%-10%-所得税率-所得税率×復興特別所得税率

④ 全体としての減税額(控除額)=①+②+③

(2)2,000円の自己負担での最適な(?)寄附の金額

 ふるさと納税は無制限に住民税相当額分を減額するわけではありません。

支出した寄附金の額から2,000円を控除されますし、20%の縛りもあります。それでは、軽減される税額に最も近くなる寄附の金額はいくらでしょうか?仮に減税額に最も近い寄附の金額を最適なという表現を使うとして、(1)の計算を基に、所得税率5%の場合の一つの例として最適な(?)寄附の金額の限度額を求めてみます。

①  所得税分  (寄附金-2,000円)×5.105%※

         ※5%+5%×2.1%=5.105%

 

②  住民税分  (寄附金-2,000円)×10%

 

③  住民税の特例分 (寄附金-2,000円)×84.895%

 

④  ①+②+③=(寄附金-2,000円)×100%

 前述の算式によれば、寄附金の額から2,000円を差し引いた額の100%が控除されるという計算になります。他の税率の方に関しても結果は同じです。

例えば所得税率23%の方の場合は、①23.483% ②10% ③66.517% と合計100%です。

 ただしこの制度は、所得税の過払い分や、これから納める住民税からの控除を認めるもので、納めていない金額について控除をするということは理論的にありえません。また、納税額内であっても一定の限度を設けています。

 それが③の「住民税・所得割額の20%まで」という限度です。言い換えれば、③さえ範囲内に収まっていれば自己負担は2,000円のみになるということです。

よって、限度額は下記のようになります。

(寄附金ー2,000円)×  84.895% ≦ 住民税額 × 20%

 ∴ 寄附金 ≦ 住民税額 × 23.55851…%+2,000円

 一般に「ふるさと納税の限度額は住民税額の2割が目安です」と言われることがありますが、それはこの20%という率のためです。しかし、実際には所得税率によって計算上影響を受けるので住民税額の2~4割強まで限度額に幅があります。

(3)ふるさと納税に影響を与える平成29年度税制改正について

 配偶者に関する控除には、所得控除として配偶者控除と配偶者特別控除があります。

 「平成29年度税制改正」により、平成30年分の所得税(平成31年度の住民税)の計算から配偶者控除及び配偶者特別控除が見直されました。

 パート等に従事する配偶者が就業調整を意識しなくて済む仕組みの構築と国・地方を通じ税収を確保することとを目的に以下の改正が行われました。

 

① 配偶者控除の要件に納税者の所得の上限が設けられました

 配偶者特別控除には以前より納税者本人の所得に1千万円という上限がありましたが、配偶者控除には上限がありませんでした。平成30年分(平成31年度)からは配偶者控除にも合計所得金額1千万円の上限が設けられました。また、それ以下であっても所得を3段階に分け、控除金額を段階的に減額することとなりました。

 これにより、配偶者控除を受けられない方や減額される方が出てきます。

② 配偶者特別控除の配偶者の合計所得金額の上限が引き上げられました

 配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額の上限が「76万円未満」から「123万円以下」に広がりました。

 これにより、新たに配偶者特別控除を受けられることになる方や控除額が増額される方が出てきます。

③ ①、②によるふるさと納税限度額への影響

 税制改正によって限度額が引き上げられる方がいる一方で、引き下げられることとなる方もいます。

 ここでは、その影響の大きさを計算してみたいと思います。

 

 最も限度額が増額するケースは、所得金額が4千万円超で今まで配偶者控除を受けていた方ですが、その影響額は1万5~6千円程度です。そもそも増額前の限度額が160万円超であろうと思われますので、取るに足らない金額と言えるでしょう。

 

 また、最も限度額が減額するケースは、所得金額が900万円で配偶者の合計所得金額が76~90万円の方ですが、その影響額は1万1~2千円程度です。こちらも減額前の限度額が26~28万円程度でしょうから、予測計算であることを踏まえればこの程度の誤差は十分考えられることではないでしょうか。

1万1~2千円減額 < 平成29年度税制改正の影響 < 1万5~6千円増額

(4)最適な限度額の計算に当たっての注意点

 ふるさと納税の金額の計算に当たってはタイムラグに注意する必要があります。ふるさと納税は本来の住民税を納税する自治体とは異なる自治体に納税できるというイメージですが、実際には寄附金であって納税ではありません。

 

 例えば下記の図のように平成30年にふるさと納税をした場合、寄附自体は平成30年中に行いますが、実際の所得税額や住民税額の計算についてはその翌年の平成31年にならなければ確定することができません。つまり、時間的に先に納税があって、後で減税額が確定するのです。したがって、最適な寄附の金額としての限度額の計算は、寄附する時点では予想でしか計算することができないということに注意が必要になります。

 

 また、多額の寄附をしたからといってその全額が税金の前払いだという取扱いにはならないのです。

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