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No:123410

「債務者」の税務の話

粉飾をしている場合の設立当初からの欠損金の考え方と対応策

不良債権処理における「債務者」の税務 Ⅱ 第二会社方式の税務(2020年12月1日収録)

分割における完全支配関係継続要件、分割型分割の場合の例外

税理士 小松誠志

小松誠志税理士事務所所長。 文京学院大学大学院経営学研究科客員教授。 一橋大学法科大学院非常勤講師。 青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科非常勤講師。
<主な著書>「事業再生・再編税務の実務処理ケーススタディ 再生・再編手法の選択と税務処理のポイント~相談事例を交えて~」(週刊税務通信連載)、「中小企業をめぐる法人税務」(大蔵財務協会)、「最新 改正減価償却の実務重要点解説」(大蔵財務協会)、「認定支援機関・事業再生専門家のための事業再生税務必携」(共著・大蔵財務協会)、「最新版 図解中小企業税制」(共著・大蔵財務協会)、「私的整理計画策定の実務」(共著・商事法務)他多数

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収録日 2020/12/01 受講時間 160分
受講料 税込価格 ¥ 19,800(税抜価格 ¥ 18,000)
視聴期限3週間
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内容不良債権処理(債務者である法人の立場から見れば、事業再生又は清算・廃業等の局面に当たります。)の一環として債務免除が行われる場合、債務者である法人においては、債務免除益が生ずることになります。債務免除益は、基本的に益金算入されることになり、その益金に見合う損金又は繰越欠損金がなければ、その債務免除益に対する課税が生じることになります。窮境に陥っているために債権者から債務免除を受けたにもかかわらず、その債務免除益による課税が生じて資金が流出するようでは、その窮境を脱することは困難です。また、清算の過程で債務免除を受けた場合でも、債務免除益による課税が生じてしまうと、その清算手続に支障を来すことになってしまいます。
 したがって、不良債権処理が行われる場合、債務者である法人においては、債務免除益に対する課税が生じないことを確実にすることが重要となります。そのためには、資産の含み損を損金算入するための資産の評価損益の規定及び設立当初からの欠損金を含む繰越欠損金の規定の理解が必要となります。
 さらに、債務者である法人をそのまま存続させる事業再生の手法以外に、新法人を設立して事業譲渡又は会社分割によりその新法人に事業を移転させる第二会社方式と呼ばれる事業再生の手法が用いられることも多くあり、第二会社方式が用いられる場合には、それに関連する規定の理解も必要となります。
 本セミナーでは、不良債権処理における債務者の税務の重要論点について、税理士等の実務家向けに解説します。


◎「不良債権処理の税務」トータル解説講座

     ○PART1 基礎・事例編 
      ▶事例で学ぶ貸倒損失をめぐる税務処理30選
      講師:税理士 中村慈美 氏
       ☆貸倒処理に当たって留意すべき事項を事例形式で解説
       ☆貸倒損失の税務の基礎+様々な状況下での貸倒れの税務詳細

     ○PART2 実務編
      ▶貸倒損失・債権譲渡の税務処理の実務① 法人税基本通達9-6-1について
       ☆9-6-1金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れの詳細
      ▶貸倒損失・債権譲渡の税務処理の実務② 法人税基本通達9-6-2、3及び債権譲渡等の取扱い
       ☆9-6-2事実上の貸倒れ、9-6-3売掛債権の貸倒特例の詳細
      講師:税理士 中村慈美 氏

今回 ☛ ○PART3 不良債権処理における「債務者」の税務 
      ▶Ⅰ 事業再生の税務
       ☆法的整理、民事再生における債務免除益等課税対策
       ☆どのような私的整理が資産の評価損益の制度、設立当初からの欠損金の損金算入制度の対象となるのか
      ▶Ⅱ 第二会社方式の税務
       ☆粉飾をしている場合の設立当初からの欠損金の考え方と対応策
       ☆分割における完全支配関係継続要件、分割型分割の場合の例外
      講師:税理士 小松誠志 氏
収録内容・チャプターChapter1(32:30)
II 第二会社方式の税務
 ・GOOD事業とBAD事業を分ける。GOOD事業のみを法人から切り出して事業単位での再生を図る。このようなスキームを第二会社方式と呼ぶ。
 1 第二会社方式の概要
  (1) 第二会社方式の意義
   〈第二会社方式の税務上のメリットとデメリット〉
  (2) 事業譲渡の意義
  (3) 会社分割の意義
   イ 会社法上の会社分割の意義
   ロ 税務上の会社分割の種類
    ●分割型分割
    ●分社型分割
     ・対価が株主に交付されるか否かで区別されるが、税務上の無対価分割が分割型であるか分社型であるかは、対価(株式)の交付が省略されたものと考えて区分している。
     〈分割型分割〉を表した図 吸収分割、新設分割
     〈分社型分割〉を表した図 吸収分割、新設分割

Chapter2(26:06)
 2 解散の場合の設立当初からの欠損金の損金算入
  ・解散の場合の会社全体の欠損金が使える特例
  (1) 概要
  (2) 内容
   ・法法59条3項の規定は青色欠損金の繰越控除(法法57条1項)の規定に劣後して適用される。青色欠損金の繰越控除が先に適用される。
  (3) 控除対象となる所得金額
   ・解散の場合の設立当初から欠損金の損金算入の規定(法法59条3項)と継続方式による設立当初からの欠損金の損金算入の規定(法法59条2項)の控除対象とする所得金額に違いがある。
  (4) 適用順序(青色欠損金の繰越控除との優劣)
   ・継続方式による設立当初からの欠損金の損金算入の規定(法法59条2項)は期限切れ欠損金を青色欠損金よりも先に使える場合があるが、解散の場合の設立当初から欠損金の損金算入の規定(法法59条3項)はそれがない。
  (5) 設立当初からの欠損金の損金算入額(使用額)の内訳
   <設立当初からの欠損金の損金算入額(使用額)の内訳>
    ・法法57条1項を使うのか59条3項を使うのかがわかる図
     ①青色欠損金の繰越控除の控除限度額の制限を受ける場合
     ②青色欠損金の繰越控除の控除限度額の制限を受けない場合

Chapter3(20:55)
  (6) 残余財産がないと見込まれることの判定等
   ・事業年度終了時に債務超過の状態にあれば基本的に満たす。
  (7) 仮装経理により実在性のない資産を計上している場合
   ・粉飾をしている場合の設立当初からの欠損金の考え方と対応策
   ・実在性がない資産が判明した場合の処理方法
   ・解散の場合に限定されないが、解散の場合には特に粉飾決算への対応も求めらえる可能性が出てくる。
     <実在性のない資産の処理方法>3パターン
      ①実在性のない資産が生じた事業年度が更生期限内の事業年度である場合
      ②実在性のない資産が生じた事業年度が更生期限を過ぎた事業年度である場合
      ③実在性のない資産が生じた事業年度が不明である場合

Chapter4(24:08)
 3 事業譲渡又は会社分割による譲渡損の計上
  ・評価損益制度は厳格なルールがあり使うことが難しい面があるのに対して、第二会社方式は譲渡損として損金算入できる可能性がある。
  (3) 分割における完全支配関係継続要件
   イ 基本的な考え方
    ・吸収分割かつ分割法人が単独である場合
    ①当事者間の完全支配関係がある場合
    ②同一の者による完全支配関係がある場合
   ロ 分割型分割の場合の例外
    ・平成29年改正で導入。第二会社方式をみるうえでは必要な論点。
    ①当事者間の完全支配関係がある場合の分割型分割
     ・内容が一目でわかる図。
     ・子から親に切り出した後、子が親の傘下にいなくなっても完全支配関係継続要件を満たすとされている。
    ②同一の者による完全支配関係がある場合の分割型分割
     ・内容が一目でわかる図。

Chapter5(29:20)
  (4) 第二会社方式の事業再生の設例①
   ・第二会社方式の譲渡損の計上の在り方を確認する。
   ・分割法人が分割承継法人の株式を保有していない場合の無対価分割の例
   ・同一の者による完全支配関係がある場合の分割型分割の例外の例
   イ 状況
   ロ 検討
    (イ)概要
     ・債務免除益課税対策が空振りになる恐れ
    (ロ)分割型分割の定義(無対価分割の場合)
     ・分割型分割で適格分割に該当
    (ハ)適格要件の検討
   ハ 代替案の検討   ニ 留意点
  (5) 第二会社方式による事業再生の設例②
   ・設例①の続き。事業譲渡にした場合の税務関係
   イ 状況
   ロ 検討
    (イ)概要
     ・譲渡益と譲渡損の計上時期にズレが生じる
    (ロ)グループ法人税制の適用関係
    (ハ)対応策の検討
     ・事業譲渡を解散後に行う。

Chapter6(19:59)
 4 のれん(資産調整勘定)の計上等
  ・第二会社方式では第二会社において、いわゆるのれんを計上して損金算入するというメリットを享受できる場合がある。のれんの計上についての可否を確認。
  (1) 制度の概要
  (2) 制度の詳細
   イ 適用対象となる非適格合併等
   ロ 営業権
    ・超過収益力はこの営業権ではない。資産調整勘定の話になる。
    ・例えばタクシー業界のナンバー権とかプロパンガス業界の「顧客」というもの、それ自体が売買の対象になっているものを指す。
   ハ 退職給与負債調整勘定、短期重要負債調整勘定
    ・イ、ロ、ハまででようやく時価純資産価額が計算される。移転する資産負債の時価純資産価額が計上される。
   ニ 資産調整勘定、差額負債調整勘定
    ○資産調整勘定計上時の一目でわかる図解と仕訳
    ○差額負債調整勘定計上時の一目でわかる図解と仕訳
   ホ 資産等超過差額
    ・時価純資産価額よりも超えて対価を支払った場合、基本的には正ののれんとして資産調整勘定になるが、資産調整勘定とはみない場合があり、それが資産等超過差額。

Chapter7(08:58)
 5 設立・移転コスト
  ・第二会社方式のデメリット。第二会社方式は不動産の移転が多い。登録免許税など法人税以外の負担が生じる可能性がある。事業譲渡と会社分割を比較して確認する。
  (5) 消費税
   イ 事業譲渡
   ロ 分割
    ・会社分割は包括承継であり、課税の対象外。
   ○税目別移転コストの早見表
    ・一目で事業譲渡と会社分割の移転コストが分かる。
   ○私的整理における事業再生の税務の適用チャート
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