日本の労働生産性はなぜ低い?先進国に学ぶ5つの実践ポイント
【中小企業のための経営情報|マネジメント倶楽部デジタル9月号】

2025年9月12日

 

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このコラムでは、中小企業の経営に役立つヒントや、おさえておきたい今話題の情報などを、中小企業診断士の立場から、わかりやすく解説します。
※本記事は「マネジメント倶楽部デジタル」に掲載されたものです
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2023年の日本の時間当たり労働生産性は米国やドイツの6割程度に留まります。働き方改革や人手不足が叫ばれるなか、限られた人材で収益を維持・成長させるうえで、労働生産性の向上は欠かせません。今こそ、時間ではなく価値を基準とする働き方への転換が求められています。

 

●日本の労働生産性が主要先進国より低い理由

これには、長時間労働を前提とした働き方、業務の属人化、非効率な会議・報告文化、デジタル化の遅れなど、構造的要因が複雑に絡んでいます。特に中小企業では人材育成や設備投資に必要な資金や時間が不足し、改善サイクルの継続が難しい点も生産性向上の大きな障壁です。

 

●先進国に学ぶ実践のポイント

米国では、ジョブ型雇用に基づく成果重視の評価制度とIT活用による業務効率化が進んでいます。労働時間ではなくアウトプットを重視する文化が根付いており、短時間であっても高い成果が求められる働き方が浸透しています。

ドイツでは、製造業を中心に業務の標準化・自動化が徹底され、職業訓練制度による熟練労働者の育成が生産性向上を支えています。

北欧諸国では、柔軟な働き方と高い教育水準により自律型人材が育成されています。特にオランダやスウェーデンでは、リスキリングや職場の心理的安全性の確保に注力し、創造性と効率性の両立を図っています。

他の先進国の取組みから見えるのは、生産性向上の本質が業務の設計・評価・支援など日々のマネジメントにあることです。日本の中小企業でもすぐ実践できる5つの具体策を紹介します。

<ポイント①:業務の見える化と標準化>

業務の属人化を防ぎ、誰でも一定の成果を出せる体制を整えます。業務フローや手順は図表で可視化し、チェックリストや動画マニュアルで教育負担を軽減します。業務の棚卸しと見直しを定例化し、ムダや重複を早期に発見します。

<ポイント②:成果に基づく評価と目標管理>

時間ではなく成果を基準とする文化を根付かせます。売上に加え、改善提案や作業スピードなども評価指標に活用します。さらにOKRやKPIを部署単位で導入し、パート・アルバイトを含む評価の可視化を進めることが有効です。

<ポイント③:クラウドサービスの活用>

クラウドサービスの活用により、業務の手間を削減し、情報共有や判断のスピードを高められます。例えば、Google Workspaceなどで業務効率化、勤怠・給与・会計ソフトのクラウド化などで事務負担軽減、商談・会議のオンライン化で移動時間の削減が可能です。

<ポイント④:多能工化とスキルマップ導入>

一人が複数業務を担える体制を整え、作業の分断や属人化を防ぎます。スキルマップで社員の強み・弱みを可視化し、未経験業務に挑戦する機会を定期的に設けることが有効です。

<ポイント⑤:支援制度の活用>

補助金・助成金を使うことで設備投資や人材育成の負担を軽減できます。省力化機器の導入や研修に活用し、生産性向上を加速させます。

 

●日本らしい強みを活かして一歩ずつ前へ

生産性向上とは、丁寧な仕事、きめ細やかなサービスなどの持ち味を活かしつつ働き方や仕組みを見直すことでもあります。日本らしいやり方で未来への一歩を踏み出しましょう。

 

 

 

 

※本コラムでは、さまざまな経営者にとって役立つ記事が集まるデジタル情報誌『マネジメント倶楽部デジタル』に掲載されている記事の一部を公開しています。


 

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