分離課税と総合課税|税務通信 READER'S CLUB

No.3634
(2020年12月14日号) 85頁

ショウ・ウィンドウ 同族会社発行の社債利子

Q1

 「分離課税」と「総合課税」の違いを教えてください。

A1

 所得税は、給与所得や不動産所得などの各種所得の金額を合計した「総所得金額」に所得税の税率(所得の金額に応じた5~45%の累進税率)を乗じて計算します。この計算方法を「総合課税」といい、所得税の原則的な計算方法といえます(所得税の基本的な計算方法と所得区分について、詳細はこちらを参照してください。)。
 これに対して、利子などの一部の所得については、総所得金額とは分離して(総所得金額には合算せずに)所得税の計算をします。この計算方法を「分離課税」といい、分離課税はさらに「源泉分離課税」と「申告分離課税」に区分することができます。

1.源泉分離課税
 源泉分離課税は、他の所得と分離して一定の税率で源泉徴収を行うことで課税関係(納税)が完結する課税方法です。
 源泉分離課税の対象となる代表的なものとして、個人が受け取る銀行預金の利息があげられます。銀行などから預金の利息を受け取る場合には、利息の総額から所得税・復興特別所得税の合計15.315%と住民税5%を合わせた20.315%が源泉徴収(天引き)されることで納税が完結し、確定申告をする必要がありません。
 総合課税の対象となるものは総所得金額に応じて最高45%の累進税率(+住民税10%)で課税されるのに対し、源泉分離課税の対象となるものは、他の所得から分離され20.315%の税率での課税となるため、所得が多い納税者にとっては源泉分離課税のほうが有利といえます。この税率差を利用した節税策をさらに封じるために、令和3年度税制改正では総合課税の対象となる社債利子等の範囲を見直します。

2.申告分離課税
 申告分離課税は、他の所得と分離して、それぞれの所得の性質に応じて定められた税率で所得税の計算を行い、確定申告で課税関係(納税)が完結する方法です。
 申告分離課税の対象となる代表的なものとして、土地や建物等の譲渡による所得があげられます。これらの所得は、所有期間に応じて異なる税率で所得税額を計算します。

 所得税の計算は、法人税など他の税目と比べて、とても複雑です。これは、所得税が個人の所得に対して課される税金(=個人のお財布に直接影響を及ぼす税金)であるため、所得の性質や家族構成など個人の事情に応じた担税力(税金を負担する力)を考慮して税金を計算する仕組みになっているからです。それに加えて、租税回避や節税策を封じるための改正が度々行われることも、制度をさらに複雑にする要因といえます。所得税の計算をする際には、必ず最新の情報を確認するようにしましょう。


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