育児介護休業法・男女雇用機会均等法に関する法改正



新しい年を迎えました。今年も皆さんにとって実り多い一年となることをお祈り申し上げます。

さて、毎年のように労働法関連の法律が改正されていますが、今年も1月1日から改正育児介護休業法、男女雇用機会均等法が施行されました。今回の改正に関しては企業規模に関係なく対象となりますので、実務担当者の方は必ず確認しておきましょう。

改正内容1 介護休業の対象家族の拡大

雇用保険の被保険者で一定要件を満たしている従業員は、対象家族を介護した際に介護休業を取得することができます。この対象となる家族が拡大されました。img_onepoint_0051_01.jpg








改正前

改正後

1 配偶者、父母、子、配偶者の父母

2 同居し、かつ、扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫

配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫


同居・扶養要件が撤廃され、今後は「田舎にいる兄のために介護休業を......」という場合も可能です。

改正内容2 介護休業の分割取得

従来まで介護休業は同一家族の同一傷病に関して「1つのまとまった期間」とされていました。それが今回の改正により通算93日間の間であれば同一傷病であっても3回の取得が可能となりました。

改正前

改正後

対象家族1人につき、通算93日まで原則1回に限り取得可能

対象家族1人につき、通算93日まで3回を上限として取得可能


同一家族についての取得は、同一傷病であっても異なる傷病であっても合計3回しか取得できません。

改正内容3 介護のための所定労働時間の短縮等の措置

従来まで「介護休業と通算して93日」でしたが、介護休業とは別カウントとなりました。

改正前

改正後

対象家族1人につき、介護休業と通算して93日の範囲内で取得可能

対象家族1人につき介護休業とは別に、利用開始から3年間の間に2回以上利用可能


上記改正後の利用開始日は介護休業ではなく、介護短時間勤務を開始した日から3年となります。

改正内容4 介護のための所定外労働(残業)の免除

育児のための残業免除制度はありましたが、今回、介護を理由した残業免除制度も義務化されました。

改正前

改正後

制度なし

対象家族1人につき、介護終了まで所定外労働(残業)の免除が可能


ただし事業の正常な運営を妨げる場合(期間)のみ、会社はこの請求を拒むことができます。

改正内容5 有期契約労働者の育児・介護休業の取得要件緩和

改正前

改正後

1 1年以上継続雇用されている

2 子が1歳(対象家族の93日経過日)以降も雇用継続の見込み

3 子が2歳(対象家族の93日経過日から1年を経過する日)になるまで労働契約期間が更新されないことが明らかなこと

1 1年以上後続雇用されている

2 子が1歳6ヶ月になる日の前日まで(対象家族の93日経過日から6ヶ月を経過する日まで)に労働契約【更新される場合には更新後の契約】の期間が満了することが明らかでないこと


上記の( )内は介護休業の場合。

改正内容6 介護休暇および子の看護休暇の柔軟化

介護休暇と子の看護休暇の制度が1日単位から半日単位取得が可能となりました。

改正前

改正後

介護休暇および子の看護休暇は1日単位

介護休暇および子の看護休暇は半日(所定労働時間の2分の1)単位での取得が可能へ


改正内容7 マタニティハラスメント防止措置


いわゆるマタハラ・パタハラなどの防止措置が事業主に義務付けされました。

改正前

改正後

事業主による妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする不利益取り扱いの禁止

・改正前にプラスして「上司・同僚からの」妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とした嫌がらせ等の防止措置を事業主に義務付け

*派遣先労働者の派遣先にも適用


改正内容8 育児休業等の対象となる子の範囲




改正前

改正後

法律上の実子または養子

特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子等も対象


まとめ

上記のように多くの点で改正になっています。特に介護休業の対象家族の範囲が拡大されていますので、今後は対象家族別での日数管理が重要になるといえるでしょう。

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