読んでみました!税理士の読書感想文
『「自己株式の実務」完全解説』

2020年11月20日

 

会社がまだ若いときは株主イコール社長であることが多く、さほど問題にならないのですが、会社が長年に渡って存続し、株主に相続が発生するなどして株の分散が進むと、株は議決権ですので経営者の立場が危うくなる危険性があります。そのため、経営者は株を買い取ろうとしますが、様々な理由から経営者個人ではなく発行会社が株を買い取ることがあります。それを自己株式の取得といいます(もちろんその他の理由もありえます)。

 

自己株式の取得で厄介なところは、会計処理と税務処理が異なる点です。会社法が「株主に対する金銭の払戻し」という考え方を採用しているため、自己株式等会計基準もその考え方に沿った処理となっており、会計上、自己株式を取得したときは取得価額をもって純資産の部の株主資本から控除します。

 

一方、税務上では、自己株式の取得は株主に対する資本の払戻しを、資本金等の額からの払戻しと利益積立金額からの払戻しに区分計算するものとされ、この利益積立金額からの払戻しを配当とみなすのです。

 

会計上と税務上の処理が異なりますから、申告書作成の時に気をつけなければなりませんし、配当ですから支払い時には源泉徴収し支払調書を作成する必要があります。自己株式の取得の頻度はそうあるものではないため、実際に処理するときには戸惑う方も多いでしょう。そんなときに手元にあると非常に助かるのが、『「自己株式の実務」完全解説』です。仕訳例や別表記入例も豊富ですし、支払調書などのイメージ図もあり見やすく工夫されています。

 

『「自己株式の実務」完全解説 』 

太田達也 著 2,420円(税込)

 

みなし配当が発生するということは、株を手放す株主に配当が発生することになります。このときに非常に高額な配当が発生することがあり売却を渋る株主もいますが、相続または遺贈により株を取得した場合、相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に発行会社へ譲渡するのであれば、みなし配当は発生しないこととする特例があります。その特例はなにもせずとも適用されるものではなく、届出が必要ですし、資産税を知る方には取得費加算の特例の併用も気になるところですが、そちらもしっかりと触れられています。

 

ある程度の規模と歴史を持った中小企業とは切っても切れない関係である自己株式の取得。いざその場面に出会ったときに慌てないように、ぜひお手元においていただきたい一冊です。

 


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税理士高山 弥生

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