「適格請求書発行事業者が死亡した場合の取扱い」|税務通信 READER’S CLUB

2023年8月10日

 

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解説 「実例から学ぶ税務の核心<第81回>令和5年度改正条文を読んで」
Q1

 「インボイス発行登録した事業者に相続があると、その相続人がインボイス発行事業者扱いされる特例がある。」とのことですが、具体的にはどのような場合に適用されるのでしょうか。

 

A1

 死亡した適格請求書発行事業者の事業を承継した相続人は、みなし登録期間中は適格請求書発行事業者とみなされ、死亡した適格請求書発行事業者の登録番号をその相続人の登録番号とみなすこととされています。

 

1.「適格請求書発行事業者の死亡届出書」の提出

令和5年10月1日以後に適格請求書発行事業者(インボイスの登録をしている事業者)が死亡した場合には、相続人は「適格請求書発行事業者の死亡届出書」を、速やかに、死亡した適格請求書発行事業者の納税地を所轄する税務署長に提出しなければなりません(新消法57の3①)。これは、相続人が事業を承継したかどうかにかかわらず提出が必要です。

 

2.死亡した適格請求書発行事業者の登録の効力

死亡した適格請求書発行事業者の登録の効力は、事業を承継した相続人の有無により、それぞれ次のように取り扱われます。

 

(1)事業を承継した相続人がいない場合

死亡した適格請求書発行事業者の登録の効力は、次のいずれか早い日に失われます(新消法57の3②)。

①「適格請求書発行事業者の死亡届出書」が提出された日の翌日

② 適格請求書発行事業者が死亡した日の翌日から4月を経過した日

 

(2)事業を承継した相続人がいる場合

死亡した適格請求書発行事業者の登録の効力は、相続により、相続人に引き継がれることはありません。したがって、インボイスの登録をしていない相続人が事業を承継し、その登録を希望する場合には、相続人が自ら登録申請を行う必要があります。

この場合において、みなし登録期間中は「事業を承継した相続人」を「適格請求書発行事業者」と、「死亡した適格請求書発行事業者の登録番号」を「相続人の登録番号」とみなすこととされています(新消法57の3③)。これは、単にみなし登録期間中は、相続人が死亡した適格請求書発行事業者の登録番号でインボイスを発行することができるというだけではありません。事業を承継した相続人は適格請求書発行事業者とみなされるため、このみなし登録期間中の取引については、課税事業者として消費税の納税義務も負うことになるという点に注意が必要です。

 

「みなし登録期間」とは、相続のあった日の翌日から、次のいずれか早い日までの期間をいいます(新消法57の3③)。

① 相続人が登録を受けた日の前日

② 適格請求書発行事業者が死亡した日の翌日から4月を経過する日

 

なお、相続人がみなし期間中に登録申請書を提出している場合において、この期間中に相続人に登録の通知がないときは、その通知が相続人に到達するまでの期間はみなし登録期間とみなされる、つまり、みなし登録期間が延長される措置が講じられています(新消令70の6②)。

 

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