「みなし登録期間の2割特例適用可否」|税務通信 READER’S CLUB
2024年10月10日
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みなし登録期間の申告では、2割特例を適用できる場合と適用できない場合とがあります。これは「相続があった場合の納税義務の免除の特例」の適用を受けるかどうかにより異なります。
1.「みなし登録期間」とは?
インボイスの登録を受けていない相続人が、相続によりインボイス発行事業者の事業を承継した場合には、次の期間を「みなし登録期間」として、相続人をインボイス発行事業者とみなす措置が設けられています(消法57の3③)。
みなし登録期間 | 開始の日 | 相続のあった日の翌日 |
修了の日 | 次のいずれか早い日 ー① 相続人の登録日の前日 ー② 死亡した日の翌日から4か月を経過する日 |
みなし登録期間中は、相続人はインボイス発行事業者とみなされますので、その期間について課税事業者として消費税の確定申告を行う義務を負うことになります。
2.「相続があった場合の納税義務の免除の特例」とは?
消費税の課税事業者に該当するかどうかは、原則として、その事業者の基準期間における課税売上高等で判定をしますが、相続があった場合には、相続があった年・翌年・翌々年は、それぞれ次のように被相続人の基準期間における課税売上高も考慮して判定を行います。詳細は、「相続があった場合の納税義務の免除の特例」をご参照ください。
① 相続があった年
相続があった年の基準期間における被相続人の課税売上高が1,000万円を超える場合には、相続があった日の翌日からその年の12月31日までの間の納税義務が免除されない(消法10①)。
② 相続があった年の翌年・翌々年(前年・前々年に相続があった場合)
相続があった年の翌年・翌々年の基準期間における被相続人の課税売上高と相続人の課税売上高との合計額が1,000万円を超える場合には、相続があった年の翌年・翌々年の納税義務が免除されない(消法10②)。
3.みなし登録期間の2割特例適用可否
2割特例は、インボイスの登録等をしなければ免税事業者であった課税期間に適用が認められている税額計算の特例です。したがって、基準期間における課税売上高や特定期間における課税売上高等が1,000万円を超えるなど、インボイスの登録がなかったとしても課税事業者となる課税期間は、2割特例を適用して申告をすることができません。2割特例の適用判定の全体像は、「2割特例の可否判定フローチャート」をご参照ください。
みなし登録期間が「相続があった場合の納税義務の免除の特例」の適用を受ける課税期間である場合についても、インボイスの登録がなかったとしても課税事業者になる課税期間であるため、2割特例の適用を受けることはできません。
なお、みなし登録期間が「相続があった場合の納税義務の免除の特例」の適用を受けない課税期間である場合には、その期間の申告について2割特例の適用を受けることができます。