賃金のデジタル払いについて ほか
【TAX TOPICS|マネジメント倶楽部デジタル1月号】

2025年1月10日

 

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このコラムでは、掲載月に関連する税の身近なトピックをピックアップして、簡潔にまとめてお届けしています。
毎月3〜4つのトピックを取り上げています。
※本記事は「マネジメント倶楽部デジタル」に掲載されたものです
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旅費制度の見直しについて

令和7年4月に「旅費法」が改正される予定です。この法改正は、国家公務員等の旅費制度を見直すもので、デジタル化の進展やパック旅行の利用など出張実態の変化に対応するために行われます。具体的には、宿泊料の支給方法が定額から実費(上限付き)に変更されるほか、旅行命令簿や旅費請求書の様式が廃止される点が大きな特徴です。

この改正は、公務員の旅費法を参考に旅費規程を設けている企業にも影響を与えると考えられ、企業は自社の旅費規程の見直しを検討する必要があるかもしれません。例えば、自宅からの出張に対しても旅費支給が可能になる点や、旅行者が直接、旅行代理店へ支払いすることが認められるようになるので、同様の扱いを検討・対応することが求められるでしょう。

また、税務調査の際、現行の旅費規程が現実の業務実態に合わなくなっていると判断されるリスクもあります。国家公務員の旅費法や同業他社と比較して旅費が過大であると認定されると、旅行者本人に対する所得税が課されますから、企業の業態や役職・職種に合った適切な旅費規程を設けることが必要です。

 

 

賃金のデジタル払いについて

令和5年4月に解禁された「賃金のデジタル払い」は、現金や銀行振込に代わる新しい支払方法です。これまで労働基準法では賃金の支払いは通貨で行うことが原則とされてきましたが、近年のキャッシュレス化の進展に伴い、労働者が同意した場合、資金移動業者の口座を利用した賃金支払いが認められるようになりました。

資金移動業者は厚生労働大臣の指定を受ける必要があり、労働者の資産が保護される体制が求められます。例えば、口座残高が100万円を超えないようにする仕組みや、万が一業者が破綻した場合でも速やかに補償できるシステムが必要です。

なお、賃金がデジタル払いであっても、源泉徴収や社会保険料の天引き方法は従来と変わりません。ただし、源泉所得税や社会保険料の控除不足が生じた場合、従業員から現金で追加徴収する取り決めがある場合は、その徴収手段について検討する必要があるでしょう。

令和6年9月には、ソフトバンクグループがPayPayを通じて賃金のデジタル払いを導入しました。しかし、帝国データバンクの調査によると、賃金のデジタル払いを「導入予定なし」と回答した企業は約9割に上り、普及にはまだ時間がかかりそうです。導入をためらう理由として、業務負担の増加やセキュリティリスクへの懸念が挙げられています。

今後、企業の経理業務や従業員満足度の向上につながると期待されている「賃金のデジタル払い」ですが、導入を検討する際は、法令の要件や従業員の同意をしっかり確認することが大切です。

 

 

電子証明書の期限切れに注意

間もなく個人の方の確定申告シーズンを迎えますが、所得税申告書等を電子申告で提出する際には、必ず電子署名が必要となります。マイナンバーカードを利用して電子署名する場合には、マイナンバーカードに電子証明書が記録されていることが条件となりますが、この電子証明書には有効期限があります。もし電子証明書の期限が切れていると、申告書の提出ができず、申告が遅れてしまう可能性があります。

電子証明書の発行(・更新)は、住民票のある市区町村役場で行うことができ、手数料は通常無料です。電子証明書の有効期限は原則として発行の日後5回目の誕生日まで、つまり約5年間です。住所や氏名などが変更された場合、またはマイナンバーカードの有効期限が切れた場合にも、電子証明書は無効となり、再発行が必要となります。

確定申告のピーク時には、マイナンバーカードや電子証明書の手続きが集中し、役所は混雑しますので、確定申告期が近づく前に電子証明書の有効期限を確認し、必要があれば更新手続きを行うことが肝心です。

最近ではスマートフォンで使える電子証明書も普及しており、対応するAndroid端末をお持ちであれば、スマホを使って電子署名を行うことも可能です。スマホ用電子証明書は、端末に内蔵された「GP-SE」という安全な場所に格納されるため、情報の漏洩リスクも少なく、手軽に利用できる利点があります。マイナポータルから申し込むことができます。

 

 

税務相談のWEB化

近年、国税庁の税務相談の方法が多様化し、WEBを利用した相談サービスが拡大しています。WEB相談が導入されることで、納税者は場所や時間に縛られず、より柔軟に情報にアクセスできるのが、チャットボット「ふたば」や「タックスアンサー」です。

特に「ふたば」はコンテンツや情報量が徐々に増えてきており、AIを活用して、知りたい情報にアクセスしやすくなってきました。年末調整、所得税、消費税、インボイス制度などの質問に対応し、24時間いつでも利用できるため、納税者にとって便利なツールといえるでしょう。

具体的に書類や事実関係を確認する必要がある場合などは、所轄の税務署において対面にて面接・相談することが可能です。ただし、面接時間の確保や持参する書類の事前連絡などが必要であることから、現在は電話等による事前予約が必要となっています。
また、一部の税務署においては、これまで対面で行ってきた税務相談の一部をWEB相談に移行しており、事前予約のうえ、対象署の相談ブースにおいて、中心署の職員がモニター越しにリモートで個別相談等を行うという方法をとっています。

 

 

 

 

※本コラムでは、さまざまな経営者にとって役立つ記事が集まるデジタル情報誌『マネジメント楽部デジタル』に掲載されている記事の一部を公開しています。


 

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