独立公認会計士インタビュー『わたしの働き方』
アカウンティングワークス株式会社 代表取締役 花房 幸範氏

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独立公認会計士の方々に,これまでのキャリアや仕事の軸などについて聞く本コーナー。今回は,M&Aなどの会計コンサルティングからエクセル講座まで手掛ける花房幸範氏。日々の仕事に加え,生まれ育った地元の活性化にも取り組んでいる(週刊経営財務No.3329掲載記事を再掲)。

 

 

1 会計以外にも興味を持つことが大事

─花房さんが会計士を目指したきっかけを教えてください。

僕の地元は鳥取で,家は商売をやっていたこともあり,会社勤めというイメージがあまり無かったのです。何か資格を持って仕事をしたいと思っていたのですが,高校生の時に学校にあった雑誌を読んで,たまたま公認会計士という資格を知りました。数学が好きだったので,数字を扱う仕事であれば自分にもできるのではないかと。

 

─監査法人での仕事はいかがでしたか。

仕事は忙しかったですが,面白かったですね。当時は徹夜することもあり,5年で10年分くらい仕事をしたんじゃないかな,というくらい密度の濃い環境に身を置けたと思います。
監査だけではなく,IPO(新規上場)のコンサルティングや,デューデリジェンス業務の仕事が入って,それに駆り出されたりして忙しくやっていましたが,その分色々なことが経験できました。監査法人で得たスキルや仕事のやり方が,僕の今のベースになっています。

 

─身についた力はどんな点でしょう。

もちろん分析する力は付きますが,質問する力も高まったと思います。監査は英語で「オーディット」で,オーディオと一緒で「聞く」というのが語源。聞いて,ちゃんと決算書ができているか確認する。そういった点では,質問力を高めるトレーニングになったと思います。
お客さんと話すときも会計だけを知っていれば良いわけではなく,雑談も必要です。スポーツのことだったり,政治のことだったり・・・,お客さんとの信頼関係のためにも色々な話題を吸収しなくてはいけません。また,色々な業種を担当して勉強するので,その業界に対しての興味もわきます。何事も興味を持ってやることは大事だと思いますね。

 

 

2 英語で仕事の幅が広がる

─独立のきっかけを教えてください。

監査を通して色々な会社に行きましたが,やはり現場が面白かったです。営業所へ行って営業マンの話を聞いたり,工場に行って生産現場を見たり。現場を見て,やはりビジネスのほうが面白いなと思うようになりました。
2002年に,買収を積極的に行っている投資会社に転職をして,財務経理部長を務めていました。買収前の検討段階でデューデリジェンスの結果の確認や検討材料の作成,買収後には組織再編も行いました。ちょうどM&Aが活況を帯びてきた時期に投資実務に携われたのは非常に面白かったです。

 

─現在はどんなお仕事をされていますか。

M&Aなどの会計コンサルティングを中心に行っています。デューデリジェンスやバリュエーションをやっているのですが,それは監査法人にいたときの経験と投資会社のときの経験が役立っています。あとは決算開示のコンサルティングや,エクセルを使った講座も年に1~2回ほど実施しています。

 

─会計士やビジネスマンに大切なスキルは何だと思いますか。

間違いなく「英語」ですね。20年前,大学の恩師の白鳥栄一先生が,「これからのビジネスマンの三大スキルはパソコンと英語と会計だ」と言ったんです。確かに英語ができれば仕事の幅が広がるし,海外に進出する会社を財務会計面からサポートできるようになりますしね。
僕の場合,OJTで英語を学びました。現場へ行って色々な人と話したり,色々な人が作ったものを見たりする中で,自然と身につきました。

 

 

3 地元の活性化にも携わりたい

─「働き方」が注目される昨今ですが,花房さんはどのように受け止めていますか。

ワークライフバランスで,定時になったらプライベートの時間に切り替える,というのはあまり良い風潮とは思いません。定時以降は自由な時間だけど自己研さんの時間として使ってほしい。ただ,自分がそうだったように,若手の人には勉強するチャンスを与えたいなと思います。業務に必要な勉強のための投資だったら,会社としては喜んでやりたいなと思います。
勧めてよいものかどうかというのはありますが,やはり二十代から三十代前半は仕事も覚えやすいし,吸収力があります。そういう時こそ,その後のキャリアを考えたら仕事をした方がいいと思いますね。

 

─現在は,ご出身地の鳥取でもお仕事をされているようですね。

元々は農業ビジネスにも興味がありました。一次産業をやっている人が豊かになれば地域も豊かになり,ゆくゆくは地域の活性化になるのではないか。そんなお手伝いをしたいと思っていました。活動を通じて,地元の会社や高校の役員をやらせてもらう機会も頂きました。地域に貢献できることがあれば労を惜しまず,ボランティアでもやっていきたい思いがあります。

 

─地域貢献への思いも強いのですね。

地域が再び賑わえばその町も潤うと思うので,地域を活性化できるような取り組みに関われたらいいなという思いはありますね。

 

 

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花房 幸範(はなふさ・ゆきのり)氏
1997年に中央青山監査法人(当時)に入所し,監査やデューデリジェンス業務に従事。2002年に投資会社へ転職し,財務経理部長を務める。2009年に独立。アカウンティングワークス株式会社(http://acwks.com/)の代表取締役として,M&Aなどの会計コンサルティング事業を手掛けている。

 

税務研究会について

当社は昭和22年4月、「納税者と税務当局との架け橋」となることを目的に創設されました。その年の11月には『税務通信』を創刊し、以来一環して「税務・会計分野における的確な情報提供を通じて広く社会に貢献する」ことを企業理念として、サービスを展開しています。

本件に関する
お問い合わせ先
株式会社税務研究会
経営財務編集部
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企業情報

株式会社税務研究会

事業内容
税務、経理、会計などの実務情報サービスとして、定期刊行物、書籍、データベースなどを展開
所在地
〒100-0005
東京都千代田区丸の内1-8-2
鉃鋼ビルディング19階
代表者名
代表取締役社長 山根毅
上場
非上場
資本金
5,400万円
URL
https://www.zeiken.co.jp/

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