独立公認会計士インタビュー『わたしの働き方』
AGRI法律会計事務所 包括代表CEO 本木 賢太郎 氏

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独立公認会計士の方々に,これまでのキャリアや仕事の軸などについて聞く本コーナー。今回は,公認会計士と弁護士両方の資格を活かした「CPA弁護士」として,「食べ物と農業と観光業」を柱に活躍される,本木賢太郎氏にお話を伺う(週刊経営財務No.3326掲載記事を再掲)。

 

 

1 CPA弁護士として

─本木さんのこれまでのキャリアを教えてください。

2002年,大学生の時に公認会計士の2次試験に合格しました。卒業後は監査法人トーマツに入所し,初めは「エンタープライズリスクサービス部」という,アドバイザリーの部門に配属されました。そこでは,法規制対応などの企業のリスク管理といった業務に携わりつつ,監査業務も並行して行っていました。

 

─弁護士資格もお持ちとのことですが。

もともと私は,新しい事業や新しい仕事をつくりたい,という思いがあり,監査法人で働きながらも,そのことを考えていました。
その中で,活用されていない農地を活用する,といった仕事をしたいと思うようになりました。ただ,色々と調べたり聞いたりしてみると,農地の分野は,法規制や,税制・行政の運用が複雑で,誰もあまり有効なアドバイスができない状況だということがわかりました。
他にやれる人がいないなら私がやろう,ということで,2008年頃,司法試験の受験を決意しました。合格したのは2011年です。

 

─現在のお仕事はいかがでしょうか。

2014年に独立をし,現在は,大きく言うと弁護士業務と税理士業務とコンサルティング業務を,1:1:1の割合で行っています。
私の場合は,それぞれの領域が重なるような仕事が多いです。例えば,M&Aの話ですと,公認会計士のスキルが求められる一方,法務デューデリジェンスという面で弁護士のスキルも求められます。
公認会計士のキャリアや,そこで得た知識・経験は,間違いなく弁護士業務に活きています。

 

 

2 公認会計士は,何でも仕事にする人

─独立された経緯を教えてください。

端的に言ってしまえば,「必然的に辞めた」ということです。
監査法人内では,「どんなことに関心があるか」,「どんなビジネスが今後大きくなっていくと思うか」といった調査があります。私は,2007年頃から「農業分野が,関心もあるし伸びしろもあります」と提案していたのですが,当時は「それは監査法人の中ではできないよね」と言われていました。そこで,やりたいことをするために,必然的に独立をしたという形です。
ちなみに,私が独立する頃には,大手監査法人でも農業系の部門を設けるところが出てきていました。2007年当時から自分がそこに所属できていれば,残っていたかもしれませんが,既に独立に向けて動いていたので,そのまま独立しました。

 

─独立,ということにはどのような考えをお持ちでしょうか。

公認会計士の良いところは,「数ある士業の中で,最も自分達の独占業務に貪欲ではない」という点だと考えています。
私の感覚だと,独立して監査を中心に行っている人は少数派です。多くの人は,「時代の先を読んで,自分もそこについていく」,「自分が流れをつくっていく」という考えで監査以外の仕事を多くしているのではないでしょうか。「何でも仕事になるし,仕事にする人たち」が公認会計士なのだと思います。
実際,多くの公認会計士は,何でも仕事にできる幅広い知見は持っているはずです。独立を考えている人には,「いざ独立してしまえば,なんとかなる」と言いたいです。

 

 

3 「食べ物と農業と観光業」が柱

─「働き方」ということについてはどのようにお考えですか。

「働き方には多様性があってよい」と考えています。
私自身は,24時間中の20時間バリバリ働きます,というタイプです。ただ,当然そういう人ばかりではありません。働きやすい環境をつくるために,自分の働き方を押し付けず,多様性を尊重すべきだと思います。

 

─ご自身の働き方について,詳しく教えてください。

「食べ物と農業と観光業」の3本柱を事務所の注力業種としていて,その関係で地方などへの出張が多くあります。それ以外にも,午前は税務の顧客先,午後は法務の顧客先,といったように,仕事の性質上,外出が多いです。
先ほど,農地活用事業をしたくて独立したと述べましたが,やりたいことと仕事が一致しているのが現状です。

 

─「食べ物と農業と観光業」ですか。

「日本のよいものを残していく」というコンセプトの仕事に多く取り組んでいきたいと考えています。
そのため,仕事を離れても,ボランティアなどを含め積極的に,地域貢献に携わっています。
例えば,お祭りの手伝いをしたり,イルミネーションの実行委員会に顔を出したりします。各地方都市の活性化のお手伝いもしますね。

 

 

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本木 賢太郎(もとき・けんたろう)氏

AGRI法律会計事務所(http://agrilaw.jp/)パートナー。
公認会計士,弁護士(第二東京弁護士会所属),税理士。
大学卒業後,監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)にて,財務諸表監査,システム監査などの監査業務に加えて,リスクマネジメント,情報セキュリティー等のコンサルティング業務に従事。
日本公認会計士協会IT委員会委員,IT教育専門委員会,監査IT対応専門委員会等の委員を歴任。
2014年,AGRI法律会計事務所を設立。
公益社団法人日本監査役協会会員。

 

税務研究会について

当社は昭和22年4月、「納税者と税務当局との架け橋」となることを目的に創設されました。その年の11月には『税務通信』を創刊し、以来一環して「税務・会計分野における的確な情報提供を通じて広く社会に貢献する」ことを企業理念として、サービスを展開しています。

本件に関する
お問い合わせ先
株式会社税務研究会
経営財務編集部
E-mail:webmaster@zeiken.co.jp

企業情報

株式会社税務研究会

事業内容
税務、経理、会計などの実務情報サービスとして、定期刊行物、書籍、データベースなどを展開
所在地
〒100-0005
東京都千代田区丸の内1-8-2
鉃鋼ビルディング19階
代表者名
代表取締役社長 山根毅
上場
非上場
資本金
5,400万円
URL
https://www.zeiken.co.jp/

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