独立公認会計士インタビュー『わたしの働き方』
岡安総合会計士事務所 公認会計士・税理士 岡安俊英氏

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独立して働く公認会計士の方々に,これまでのキャリアや会計士としての働き方などを尋ねる本コーナー。今回は,大手予備校での講師経験や監査法人での勤務経験を活かしながら,IPO支援業務等を多く手掛ける岡安俊英氏に話をきいた(週刊経営財務No.3367の記事を再掲)。

 

 

1 講師の経験を経て

─公認会計士を目指したきっかけを教えてください。

大学2年になって就職を意識し始め,やりたい仕事について考えたのですが,大学2年の自分がやりたい仕事と将来の自分がやりたい仕事はきっと変わるだろうと思いました。やりたい仕事が変わったときにそれに対応できる資格が欲しいと考え,幅広い分野で活躍できる公認会計士に魅力を感じたことがきっかけです。

 

─これまでのキャリアを教えてください。

会計士に合格後,TACの講師になりました。監査法人にも行きたいと思っていたのですが,せっかくの機会だし,若いうちに他の人にはない経験を積むのも面白いかなと思い,やることにしました。講師の仕事をする中で,自分がやりたいこと,自分がやるべきこと,お客さんが求めていることを考え,これらをバランスよく提供してサービスの価値を高めていくという仕事の感覚が養われたと思います。TACの講師を続けながら非常勤であずさ監査法人に入所しまして,配属されたのはIPO部門でした。2008年にTACを退社し,常勤であずさ監査法人で働き始めましたが,リーマンショックでIPO件数が落ち込んでしまい,IPOに携わる機会に恵まれない時期が続きました。ただ,その間に監査やデューデリジェンスなどの経験を積めたのは良かったです。その後,景気回復とともにIPOに携わる機会も増え,ここでの経験が現在のIPO支援業務につながっています。

独立したのは2014年です。もともと独立志向があったわけではないのですが,知人に誘われたことがきっかけでした。監査法人では同僚にも恵まれ,忙しいながらも楽しく働いていたのですが,監査法人の仕事にも慣れてきて,他の仕事にも挑戦してみたいと思っていた時期でしたので,独立を決意しました。タイミングとご縁ということでしょうか。

私の仕事の特徴としては,IPO支援業務の割合が多いことだと思います。仕事の6割から7割くらいを占める感覚です。関わり方はお客さんのニーズによって違いますが,例えば経理体制や社内管理体制,会社の業務フローの整備のお手伝いをすることもありますし,決算業務の支援,資本政策の提案,上場申請書類の作成なども行います。本当に何でもやりますね。

また,独立後は講師の経験と監査法人勤務の経験を評価して頂き,企業の研修の外部講師としてのお仕事も頂いています。

 

 

2 主役は会社,自分は脇役

─お仕事上,大切にされていることはなんでしょう。

いくつかありますが,1つはなるべくお客さんのところに行き,顔を合わせて一緒に働くことを大切にしています。その方がコミュニケーションもとりやすいですし,社員と同じ気持ちになって一緒に会社を盛り上げていこうという感覚にもなれます。自分の事務所もありますが,お客さんのところにいることが多いですね。もう1つは,コンサルティング業務をする中では自分は脇役,主役は会社であるという意識を大切にしています。主役が大活躍できるように,脇役としてしっかりと主役を支えたい,会社の土台作りや基礎作りのお手伝いをしたいと思っています。

また,目指しているのは「岡安さんと一緒に仕事ができてよかった」と言ってもらえるような仕事をすることです。優秀な会計士はたくさんいますから,能力面でいえば,私でなければできない仕事はないと思います。その中で,私に仕事を頼んで頂いているのですから,その期待に応えたいという気持ちが強いです。

 

 

3 イノベーションに携わる面白さ

─これからの目標をお聞かせください。

当面の目標は,今のお客さんに満足してもらえる仕事をすることです。IPO準備会社であれば,一緒にIPOまで辿り着くことですね。中期的な目標は,IPOを目指す段階より少し前のシードステージやアーリーステージの会社のお手伝いができたらなと思っています。長期的な目標は,脇役の話と矛盾するかもしれませんが,日々の仕事をコツコツこなしていくことで,いつかスポットライトを浴びるような仕事をすることですね。例えるなら,「バント職人」と呼ばれた元巨人軍の川相選手(現・読売巨人軍二軍監督)が世界記録を樹立したときのような感じでしょうか。

 

─会計に携わる若手の方々へメッセ―ジをお願いします。

私より若い方に向けてということであれば,常識を身に着けつつも,非常識なことにも挑戦してもらいたいなと思います。仕事上,ベンチャー企業の方とお会いすることが多いですが,彼らはとても革新的な,少し前なら非常識ともいわれるようなビジネスを手掛けていることが多いです。新しいビジネスというのは得てして非常識なものかもしれませんが,それをやろうとする彼らのエネルギーを間近で感じることや,会社の成長過程に携わることはとても面白いので,ぜひ経験してもらいたいなと思います。大げさにいえば,新しいビジネスの誕生に立ち会う面白さを感じてもらいたいですね。

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岡安 俊英(おかやす・としひで)氏

2005年に公認会計士二次試験合格,同年8月よりTACで公認会計士講座・財務会計論専任講師として講師業務等に従事。2008年10月よりあずさ監査法人で法定監査・IPO支援業務・デューデリジェンス業務に従事。2014年 1月に独立し岡安公認会計士事務所を開設。IPO支援業務,決算支援業務,J-SOX対応支援業務,法人研修業務等を中心に展開。2016年6月に松村組の監査役就任。2018年4月にトランザスの取締役(監査等委員)就任。趣味はゴルフなど。

 

 

税務研究会について

当社は昭和22年4月、「納税者と税務当局との架け橋」となることを目的に創設されました。その年の11月には『税務通信』を創刊し、以来一環して「税務・会計分野における的確な情報提供を通じて広く社会に貢献する」ことを企業理念として、サービスを展開しています。

本件に関する
お問い合わせ先
株式会社税務研究会
経営財務編集部
E-mail:webmaster@zeiken.co.jp

企業情報

株式会社税務研究会

事業内容
税務、経理、会計などの実務情報サービスとして、定期刊行物、書籍、データベースなどを展開
所在地
〒100-0005
東京都千代田区丸の内1-8-2
鉃鋼ビルディング19階
代表者名
代表取締役社長 山根毅
上場
非上場
資本金
5,400万円
URL
https://www.zeiken.co.jp/

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