『読者の横顔』 
株式会社はてな コーポレート本部 経理部長 堀内潤一 氏

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「週刊経営財務」読者に、購読のきっかけや実務での活用法などをきく新コーナーを開始します。第1回は、「はてなブログ」等でおなじみの「株式会社はてな」のコーポレート本部 経理部長の堀内潤一氏にお話を伺いました。

 

─御社の事業内容と、堀内様がご担当されているお仕事についてお聞かせください。

当社は「はてなブログ」、「はてなブックマーク」といったSNSサービスを発祥とするインターネットサービス会社です。近年はそうしたコンテンツプラットフォームの提供にとどまらず、はてなブログの商業利用や、「Mackerel」というサーバー監視サービスの提供、受託・協業サービスとして大手ゲーム会社・出版社からの受託サービスを中心とした事業を行っています。

私は社内で経理部長として、主に月次決算や四半期、年度決算対応、効率的で品質の高い被監査の実現に向けて監査人との折衝、金融機関との折衝を通じた財務活動や短期資金、長期資金の資金管理といった業務に取り組んでいます。また、社内で新しいサービスや新しい取り組みがスタートした場合には、関係部門より情報共有がなされたら、速やかに会計処理の検討を経理部で早々に行ったうえで、関係部門にわかりやすく展開するなど、事業側の人間と経理側の人間とのコミュニケーションラインとなることも職務のひとつです。

 

─経理財務に携わる社員の人数を教えてください。また、公認会計士資格をお持ちの方はいらっしゃいますか。

経理財務に携わっている社員は4名です。当社のように50億未満の売上取引ベンチャー企業としては、少数精鋭体制となることが必然的かと思っています。公認会計士資格の保有者はいません。当社の経理部は、資格やライセンスの保有は必要条件として捉えておらず、「いかに事業会社に参画するプレイヤーとして、価値のある業務遂行ができるかどうか」を必要条件としております。その点で、メンバーは会計実務家として、十分な経理財務実務経験を積んだ者が集まってきていますため、ハイパフォーマンスな経理部だと自負しております。

 

─「週刊経営財務」との出会い、購読を決意した理由を教えてください。

私はもともと事業会社の動きを数字で捉えて、経営者の参謀役の一人として道を拓いていきたいという思考があり、経理財務の道を志しました。そして実際に経理財務実務の責任者になった当時、会計原則、会計基準、金融商品取引法、会社法といった各改正に、責任者として先手を打って対応していく必要がありました。これは監査人に対してフロントに立つ者として、当然の職責であります。そこで、日々めまぐるしく変わる会計まわりの最新情報を、手軽に、タイムリーに得られる情報源はないものかと知人の公認会計士にお尋ねしたところ、「週刊経営財務」をおすすめされたことが購読のきっかけです。

 

─実際に購読されていかがでしたか。
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例えば新しい会計基準の理解をしようと思ったときに、印刷会社の手引書や関係機関のセミナーなどもありますが、手引書は季刊ごとに確定した情報が出るのみで、セミナーも常時やっているわけではなく、基準が確定して適用が迫ってからが多いですよね。私の場合、制度や基準の改正について、公開草案や審議の段階からある程度タイムリーに”流れ”や”検討の背景”を知っておきたいなと思っていました。「週刊経営財務」は時間に限りがあるビジネスマン、経理・財務パーソンにとっては、そういった最新の情報をわかりやすく効率的に得ることができるので非常に助かっています。

ただ、購読当初は、私も経理財務知識の深度がそれほど深くありませんでしたので、1ページ目から「手ごわい記事が続くな」と思いました(笑)。読めるようになるまでは忍耐が必要でしたね。それでも最初は食らいつきながら、わからない言葉が出てきたら2時間でも3時間でも調べながら読みました。自社に関わることを中心に、その他の記事にも目を通すようにしています。毎週月曜日に手元に届くので、実物を見ると「読まなければ」という意欲がわきますね。溜めると消化するのが大変なのでなるべく溜めないことを心掛けて、その日の帰宅後には時間をつくって読むようにしています。

 

─具体的に実務にどのように活用されていますか?

私は直接誌面に書き込んだりマーカーを引いたりして自分の頭にインプットしていくタイプでしたので、自分なりのチェックポイントを書き込んであとで見返すというようにしました。今ですとIFRS15号をベースとして日本基準化した「収益認識に関する会計基準」関連の解説が多いですよね。他誌でも収益認識は色々と取り上げていますが、経営財務のように他社の検討事例や対談(※1)などを掲載している雑誌はなかなかありません。他社の考え方を知るといった意味でも、対談等からヒントを得て業務に活用しています。他社の注記事例がたくさん載っていますので、我々が注記を作成するにあたりどのような開示事項があるのか、どういう準備が必要かということを知るために、前もって情報の先取りをしているようなイメージですね。

コーナーによっては、偶発債務の注記(※2)ですとか、最新の制度改正でなくて実務に定着しているような論点についても改めて掲載されているので、自分の中で理解しているつもりになっている論点でも新しい気づきがあったり、改めて知識を整理したりすることができるのがありがたいです。

私は紙とデータベース(DB)を併用していて、紙は保管スペースの都合もあり、5年くらいで処分するようにしています。DBにアクセスすれば過去の記事も読めますからね。DBの検索機能は非常に便利で、特定のテーマに関する記事が読みたい場合、キーワード検索でヒットさせて掲載号を確認してから紙版を見に行くということもしています。

 

─購読を迷っている方に、最後に一言いただけますか。

経理・財務パーソンとしては常に新しい情報をキャッチしていく必要があります。これはこの職種の宿命ともいえるでしょうか。立ち止まってしまうとその情報が劣化していつの間にか使い物にならなくなってしまいますので、継続的に勉強する習慣というものをつけなければいけないと思います。その中で、経営財務は非常に整理された会計情報のみならず、M&Aに関する情報や海外情報、会計人としての心構えのようなものも掲載されておりますので、そういった記事は自分のビジネスパーソンとしての行動や考え方にも影響を与えています。個人購読・会社購読関係なく、まずは食らいついて読んでみて、それを習慣化することが大切だと思いますので、ぜひトライしてみることをおすすめします。

 

─ありがとうございました。

 

(※1)例えば「誌上検討会 IFRS15号の開示を読む」では、山田浩史教授(元パナソニック理事・大阪経済大学大学院客員教授)と山田善隆会計士(PwC京都監査法人)にIFRS任意適用企業のIFRS15号に関する注記を分析いただいた。
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(※2)「厳選!現場からの緊急相談Q&A」は、幅広い論点について実務の現場から寄せられたさまざまな疑問を丁寧に解説する好評連載。
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税務研究会について

当社は昭和22年4月、「納税者と税務当局との架け橋」となることを目的に創設されました。その年の11月には『税務通信』を創刊し、以来一環して「税務・会計分野における的確な情報提供を通じて広く社会に貢献する」ことを企業理念として、サービスを展開しています。

本件に関する
お問い合わせ先
株式会社税務研究会
経営財務編集部
E-mail:webmaster@zeiken.co.jp

企業情報

株式会社税務研究会

事業内容
税務、経理、会計などの実務情報サービスとして、定期刊行物、書籍、データベースなどを展開
所在地
〒100-0005
東京都千代田区丸の内1-8-2
鉃鋼ビルディング19階
代表者名
代表取締役社長 山根毅
上場
非上場
資本金
5,400万円
URL
https://www.zeiken.co.jp/

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