『読者の横顔』 
三林公認会計士事務所 所長 公認会計士 三林昭弘氏 宮本翔氏

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「週刊経営財務」読者に、購読のきっかけや実務での活用法などをきく本コーナー。
第2回は、三林公認会計士事務所 所長の三林昭弘先生にお話を伺いました。

 

─公認会計士を目指したきっかけを教えてください。

公認会計士の存在を知ったのは高校生のころでした。当時から将来は手に職をつけて独立して生きていきたいという志向をもっていましたので、資格の存在を知ったのち、大学入学時に会計士の資料を取り寄せたことがきっかけです。1994年に、24歳で会計士二次試験に合格し「会計士補」(編注:現在はなくなった、二次試験に合格して会計士補の登録を行った者に与えられていた資格。二次試験合格者は、会計士補として3年間の実務補習と業務補助等を経て、三次試験に臨む)となりましたが、当時は日本全体が就職氷河期のころでした。それは監査法人も例外ではありませんでしたので、不動産建設業のグループ会社に就職しました。会計士補という肩書から「デキるやつ」と思われたのか、社長室付になりまして、いつどこに行っても良いという”特権”を与えてもらいました。その特権を活かして、建設の現場から、支店からあちこち勉強しに行きましたし、経営上の重要な会議にも顔を出すことができましたので、事業会社の活動を学ぶ上で様々な経験をすることができました。

 

─最初は事業会社に勤められたのですね。監査法人にはいつ頃入所されたのですか。

28歳の頃、地元の三重県に近いトーマツの名古屋事務所にUターン就職することにしました。トーマツには6年間勤めることになります。名古屋は東京ほど規模が大きくなかったので、なんでもやりましたね。自分の経験のためには、それがよかったと思います。

パブリックセクターに業績評価を導入する仕組みづくりのお手伝いや、その他コンサル業務なども行いましたので、単なる監査の枠にとどまらない幅の広い仕事をすることができ、濃い時間を過ごすことができました。

 

─事業会社と監査法人時代の多様な経験が今の先生の礎を築いたのですね。それでは、独立後のお話をお聞かせいただけますか。

2004年に、独立開業という夢を実現するために、東京で独立しました。この頃は、2001年ごろのITバブルの余韻がまだ残っていた時代です。そのため、独立当時はITベンチャーのIPO支援や、コンサル業務などを主に行っていました。また、その頃は産業再生機構案件のお手伝いでビジネスデューデリジェンス(DD)なども手掛けていました。現在の業務に繋がるM&A関連の知識・経験はこの頃身に付けたものです。

独立してしばらくの間、コンサルの仕事が多かったのですが、スポット的になりがちです。仕事を安定させるためにも税務の仕事も受けるようにしてみたのですが、そうなるといつしか税務の割合が増えてきて仕事が会計よりも税務がメインになってきました。そのまま10年あまりが過ぎたとき、「このままで良いのだろうか」という思いが出てきまして、環境を変えることにしました。新たな経験をするために事業会社に行ってCFOとして働きました。やり切った思いがありましたので、退任してまた独立して業務を始めたのがここ1~2年の出来事です。今度はこれまでの経験を活かして、IPO支援、M&AのDDなども含めたコンサル業務をメインでやっていきたいと思っています。

 

─そのようなキャリアの中で、「週刊経営財務」とはどこで出会ったのでしょうか?

監査法人内に新聞や専門誌などが置いてあるコーナーがあって、そこが出会いですね。クライアントや、その他さまざまな会社の事例が掲載されているので、朝に新聞を読むのと同じくらい自然に経営財務に目を通すのが習慣になりました。紙版に書き込んだりマーカーをしたいからという理由で、個人で購読している方も多かったと思います。

監査法人に居たときはナレッジが充実していて、最新の情報が常にアップデートされる環境にありました。独立するとそれがなくなります。監査に携わっていればまだ最新の情報が手に入るかとは思うのですが、独立後は税務にも入っていきましたし、最新の会計の動向についてアップデートすることが急に難しくなりました。その点、月刊誌だと情報が遅くて、一般の新聞だとそこまで深い情報はありませんので、最新情報の入手のために経営財務は非常に助かっています。

 

─実務での活用方法を教えてください。

毎週、表紙(※1)を見て気になるところに目を通しながら、あとから特定のテーマに絞って追いかけたりもします。索引も活用していますよ。やはり自分が思っていることが本当に最新の情報かどうかというのは、常に気になるところですから。コーナーですと、「ミニファイル」(※2)がいいですね。読みやすい分量ながらも、ちょっとした最新の情報が入っていて、参考になります。あとは、インターネット版の「経営財務データベース」に関しては「検索機能」が助かっています。特定のキーワードで調べやすく、過去の記事にも簡単にさかのぼれるので。また、「会計方針の変更」などの開示の注記例を調べるのにも役立っています(※3)。

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経営財務DBの検索機能は仕事に不可欠だという。

 

─最後に一言、お願い致します。

会計士試験合格者、あるいは若手会計士の方向けにお話をさせてもらいますと、会計士であるならば、自分の頭で情報を整理して、意味を理解する力が必要だと思います。経営財務に限らず、日経新聞なり、日本公認会計士協会が発行する「会計・監査ジャーナル」なり、他の専門誌も含め、あらゆるものを駆使して自分の中に情報を入れてください。大事なのは、書いてあることを鵜呑みにせず、自分の中で咀嚼することです。情報を得て「経営財務に書いてあるから」で思考停止することなく、自ら考え、単なるインプットだけで終わらせないことが会計士として大切な力を育てることにつながると思います。


─本日はありがとうございました。

 

【※1】表紙(目次)。「どんなに忙しくてもその号のニュースが要約されている『アングル』にだけは目を通すようにしている」という実務家は多い。
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【※2】ミニファイル。会計実務に関わるタイムリーなキーワードをやさしく解説する好評コラム。
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【※3】「経営財務データベース」では、「資料を見る」タブから、会計処理の変更事例集を確認することができる。
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三林 昭弘(みつばやし・あきひろ)氏

1970年、三重県生まれ。1994年に公認会計士二次試験合格、会計士補登録。不動産会社を経て、有限責任監査法人トーマツに入所。監査業務のほかIPO支援やコンサル業務にも携わり、2004年に独立。その後、事業会社のCFO経験を経て、現在は東京都渋谷区上原で「三林公認会計士事務所」を開業、コンサル業務等をメインで手掛ける。過去に週刊経営財務誌上で「税効果会計これだけのはなし」(全20回)を連載(No.3186~No.3205)、難解な税効果会計の仕組みをわかりやすく説明した解説で好評を博した。

 

 

税務研究会について

当社は昭和22年4月、「納税者と税務当局との架け橋」となることを目的に創設されました。その年の11月には『税務通信』を創刊し、以来一環して「税務・会計分野における的確な情報提供を通じて広く社会に貢献する」ことを企業理念として、サービスを展開しています。

本件に関する
お問い合わせ先
株式会社税務研究会
経営財務編集部
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株式会社税務研究会

事業内容
税務、経理、会計などの実務情報サービスとして、定期刊行物、書籍、データベースなどを展開
所在地
〒100-0005
東京都千代田区丸の内1-8-2
鉃鋼ビルディング19階
代表者名
代表取締役社長 山根毅
上場
非上場
資本金
5,400万円
URL
https://www.zeiken.co.jp/

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