【コラム】リース取引に係る消費税の取り扱いについて
[あいわ税理士法人コラム]
2026/02/10
【コラム】リース取引に係る消費税の取り扱いについて
1.はじめに
令和6年9月に「リースに関する会計基準」(以下「新リース会計基準」)が公表され、令和9年4月1日以後に開始する事業年度から強制適用されることになります。
令和7年10月1日のコラムでは、オペレーティングリース取引に係る借手の法人税の申告調整について紹介しましたが、本稿では新リース会計基準適用後のリース取引に係る消費税の取扱いについて以下の例を紹介します。
① ファイナンスリース取引に係る借手の消費税
② オペレーティングリース取引に係る借手の消費税
③ サブリース取引に係る消費税
④ フリーレントに係る借手の消費税
2.ファイナンスリース取引に係る借手の消費税
リース取引について消費税法基本通達では、以下のように定められています。
事業者が行うリース取引が、当該リース取引の目的となる資産の譲渡若しくは貸付け又は金銭の貸付けのいずれに該当するかは、所得税又は法人税の課税所得の計算における取扱いの例により判定するものとし、この場合には、次のことに留意する。
(1)所得税法第67条の2第1項又は法人税法第64条の2第1項の規定により売買があったものとされるリース取引については、当該リース取引の目的となる資産の引渡しの時に資産の譲渡があったこととなる。
(注)この場合の資産の譲渡の対価の額は、当該リース取引に係る契約において定められたリース資産の賃貸借期間中に収受すべきリース料の額の合計額となる。
(2)所得税法第67条の2第2項又は法人税法第64条の2第2項の規定により金銭の貸借があったものとされるリース取引については、当該リース取引の目的となる資産に係る譲渡代金の支払の時に金銭の貸付けがあったこととなる。
上記通達により、法人税法上「売買とされるリース取引」に該当する場合は経理処理にかかわらず、リース取引開始時点で資産の譲渡があったものとし、一括して仕入税額控除を行います。
会計では新リース会計基準第36項により、借手は原則として、利息相当額をリース期間にわたり利息法により配分し、以下のように使用権資産を計算します。
月額リース料:1,000千円(税抜き)
リース料総額:60,000千円
リース期間:5 年
借手の追加借入利子率:8%
借手は貸手の計算利子率を知りえない。▶ リース取引開始日の仕訳
(使用権資産)49,318千円/(リース負債)49,318千円
※借手の追加借入利子率を用いて、リース料総額60,000千円を現在価値に割り引いた金額
上記が法人税法上のリース取引に該当する場合は、消費税法上は資産の譲渡があったものとして扱われます。
利息相当額が契約上で明示されていない場合、借手はリース料総額が課税仕入れとなり、仕入税額控除は以下の金額を一括控除します。
また、利息相当額(仮に10,682千円とします)が契約上明示されている場合は、利息相当額は非課税仕入のため仕入税額控除は以下の金額を一括控除します。
なお、法人税法上「所有権移転外リース取引」に該当し、借手が賃貸借処理を行っている場合には、リース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとして、分割控除する方法も認められています。
3.オペレーティングリース取引に係る借手の消費税
オペレーティングリースのうち、法人税法上のリース取引に該当しない取引は賃貸借取引に該当し、消費税法上は資産の譲渡があったとはされません。
オペレーティングリースの消費税の取り扱いは、その課税期間に支払うべき賃借料を課税仕入れとし、リース期間にわたって仕入税額控除をします。
4.サブリース取引に係る消費税
新リース会計基準の適用指針92項により、サブリース取引の中間的な貸手が一定の要件を満たす場合は、貸手として受け取るリース料と借手として支払うリース料の差額を損益に計上することができます。
消費税法ではこの差額計上を許容する規定はないため、適格請求書に記載された金額に基づき、受け取るリース料と支払うリース料に係る消費税をそれぞれ認識する必要があります。
5.フリーレントに係る借手の消費税
フリーレント期間を含む賃貸借契約について、法人税法基本通達12の5-3-2では課税上弊害があるもの以外は、賃料総額を、無償等賃借期間を含む賃借期間で按分し、当該按分した金額を、賃借期間中の各事業年度の損金の額に算入することができると定められました。
消費税法基本通達では法人税のような通達は定められておらず、フリーレント期間は賃料の支払がないため課税仕入れは発生しません。賃料を支払うべき日の属する課税期間に課税仕入れを認識し、仕入税額控除をします。
6.最後に
新リース会計基準の導入は、会計処理や法人税の対応だけでなく、消費税の取扱いにも大きな影響を与えます。消費税の課税区分や適格請求書の管理も同時に検討しなければ、後々の申告や税務調査で思わぬリスクを抱えることになります。ぜひ早めの対応を心がけましょう。
執筆者:山下 裕之
【あいわ税理士法人グループの概要】
◆グループ構成
あいわ税理士法人
あいわAdvisory株式会社
◆所在地
〒108-0075 東京都港区港南2-5-3 オリックス品川ビル4F
◆URL
https://www.aiwa-tax.or.jp/
◆人員数
税理士・税理士有資格者:38名
公認会計士:9名
情報処理安全確保支援士:1名
行政書士:1名
科目合格者:8名
総務ほか:18名
合計:70名(一部重複)
◆関与先概要
上場グループ 305社 上場準備200社 非上場265社
あいわ税理士法人について
高度な専門知識と豊富な経験を持つ税務・会計のプロフェッショナル集団。約8割が有資格者と圧倒的に高い専門家比率が強み。東証一部をはじめ、新興市場に上場する企業からIPOを目指す成長企業、非上場の中堅オーナー企業を中心にサービスを提供。サービス内容は、IPO支援、組織再編、連結納税の導入、M&Aアドバイザリー、財務税務デューデリジェンス、国際税務、事業承継、役員給与設計、HD化支援等多岐に渡る。







