相続登記の義務化について
[アクタス税理士法人 News Letter2021.6]

相続登記の義務化について[News Letter

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国の調査によると、全国の土地の約2 割は、所有者が不明の土地であるとのことです。そのような問題を解消するため、相続登記の義務化などが織り込まれた改正民法、改正不動産登記法、新設される相続土地国庫帰属法が、2021 年4 月21 日の参院本会議で可決成立し、4 月28 日に公布されました。今後は、不動産を相続された方の相続登記が義務化されるとともに、罰則規定が設けられます。今回は、この相続登記の義務化について紹介します。

 

■不動産の登記手続

不動産の所有者は、土地や建物の所有権などの権利関係を明確にさせるために登記を行います。登記は義務ではありませんが、不動産の所有権を第三者に主張するためには必要となります。不動産という重要な財産を守るため、また売買や相続などの手続きを円滑に行うため、登記をきちんと行っておくことが大切です。

 

■相続登記の義務化・・・公布日から3年以内に施行

不動産の所有者に相続が発生し、不動産の登記名義を被相続人から相続人へ変更を行う場合の登記手続が「相続登記」です。今回の改正により、この相続登記の申請手続きが義務付けられることになりました。相続登記の義務化は、法改正の施行前において相続が発生していて、相続登記をしていない不動産についても適用がありますので注意が必要です。なお、相続登記の義務化のポイントは、以下のとおりです。

 

■ 相続登記の義務化に伴い新しく創設される制度

●所有不動産記録証明制度の創設・・・公布日から3年以内に施行
特定の者が名義人となっている不動産の一覧を、法務局が証明書として発行する制度です。登記された不動産の情報は、所有者の住所や氏名により検索することができるようになります。また登記名義人や相続人は、所有不動産の一覧である「所有不動産記録証明書」を交付してもらうことができるようになります。相続の際の被相続人の所有不動産は、市区町村が交付する名寄帳(固定資産課税台帳)で確認を行うのが一般的ですが、今後はこの証明書でも確認できるようになりますので、所有不動産の把握がしやすくなります。

●相続人申告登記制度の創設・・・公布日から3年以内に施行
相続登記の義務化に伴い相続登記の申請期限が設けられましたので、遺産が未分割の場合には、相続登記の申請期限に間に合わないケースも想定されます。よって、相続人が登記名義人について相続が発生したこと自らが法定相続人であることを申出て、その旨を登記する制度が創設されました。この場合、後日に遺産分割協議が成立した際は、その遺産分割の日から3 年以内に、相続登記の申請をしなければなりません。

 

■住所変更登記の義務化・・・公布日から5年以内に施行

不動産の所有者の登記名義人は、引っ越し等により住所に変更があった場合には変更登記の申請をすることが義務付けられます。住所変更登記の義務化のポイントは、以下のとおりです。

 

■相続土地国庫帰属制度の創設・・・公布日から2年以内に施行

相続により望まない土地を取得した者の負担や、所有者不明土地の増加などを考慮して、相続又は遺贈により土地を取得した方が、その土地の所有権を国庫に帰属させることができる「相続土地国庫帰属制度」が新たに創設されました。国庫帰属の対象となる土地については審査があり、建物が立っている土地や、担保が設定されている土地などは対象になりません。また、土地を国庫に帰属させる場合には、土地の10 年分の管理費に相当する金額の負担金の納付が必要となります。

 

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