インボイス制度の負担軽減措置について
[アクタス税理士法人 News Letter2023.3]

インボイス制度の負担軽減措置について[News Letter

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令和 5 年度税制改正では、円滑な制度の実施に向け、インボイス発行事業者となる免税事業者の税負担の軽減と少額取引に係る事業者の事務負担の軽減という大きく 2 つの観点から措置が講じられています。今回はこれらの負担軽減措置についてご紹介いたします。

 

 

■インボイス制度に係る負担軽減措置

1.インボイス発行事業者となる免税事業者の税負担の軽減(2 割特例

免税事業者が、インボイス制度導入に伴い課税事業者となることを選択した場合の負担軽減を図るため、消費税の納付税額を売上に係る消費税の 2 割に軽減する激変緩和措置です。なお、事前の届出は必要なく、申告時に選択適用することができ、申告書への付記のみで適用が受けられます。

 

2.少額取引にかかる事業者の事務負担軽減

① 一定規模以下の事業者の少額特例
次の事業者が行う税込1万円未満の少額な課税仕入れについて、インボイスの保存がなくとも帳簿のみで仕入税額控除を可能とするものです。なお、この措置は令和 5 年 10 月 1 日から令和 11 年 9 月 30 日までの間に国内において行う課税仕入れについて、適用されます。

●基準期間(前々事業年度)における課税売上高が1億円以下である事業者
●特定期間(前事業年度開始の日以後 6 カ月の期間)における課税売上高が 5,000 万円以下である事業者

なお、令和 11 年 10 月 1 日以後に行う課税仕入れについては、事業年度(課税期間)の途中であっても、この少額特例の適用はありませんのでご注意ください。

 

少額な返還インボイスの交付義務免除
税込1万円未満の値引きや返品等については、返還インボイスの交付を不要とするものです。なお、売り手が負担する振込手数料相当額について売上値引として処理している場合には、返還インボイスの交付義務の免除の対象となります。

 

 

 

■□■Q&A■□■ 以下は財務省資料「インボイス制度の負担軽減措置(案)のよくある質問とその回答」より引用し一部改変

Q1.一度「2 割特例」を選択した場合、その後の適用対象期間は継続適用となりますか。 

A.消費税の申告を行うたびに 2 割特例の適用を受けるかどうかの選択が可能です。ただし、申告する課税期間が 2 割特例の適用対象となるか否かの確認が必要となります。基準期間における課税売上高が 1 千万円を超える場合には、2 割特例は適用できないこととなります。

 

Q2.インボイス制度の「2 割特例」について、免税事業者が、登録申請書とともに簡易課税制度選択届出書も提出した場合、適用できますか。 

A.2 割特例は、本則課税と簡易課税のいずれを選択している場合でも、適用が可能です。そのため、簡易課税制度の適用を受けるための届出書を提出していたとしても、申告の際に 2 割特例を選択することは可能です(簡易課税制度選択届出書を取り下げる必要はありません)。

 

Q3.免税事業者である個人事業者です。令和 4 年 12 月に課税事業者選択届出書と登録申請書を提出し令和 5 年 1 月から課税事業者、10 月から登録を受けることとなりましたが 2 割特例は適用できますか。 

A.課税事業者選択届出書を提出していることにより、インボイス制度の施行前から課税事業者となる令和 5 年 10 月 1 日の属する課税期間については、2 割特例の適用を受けられないこととなります。

 

Q4.「少額特例」について、1 万円を判定する取引単位を教えてください。例えば、9,000 円の商品と 8,000円の商品を同時に購入した場合(合計 17,000 円)は対象になりますか。 

A.少額特例の判定単位は、課税仕入れに係る1商品ごとの金額により判定するのではなく、一回の取引の合計額が 1 万円未満であるかどうかにより判定することとなります。ご質問は合計 17,000 円の取引となりますので、少額特例の対象とはなりません。

 

Q5.「少額特例」について、月額 200,000 円(稼働日 21 日)で個人事業者に外注を行っている場合、稼働日で按分すると1万円未満となりますが、対象になりますか。 

A.少額特例の判定単位は、一回の取引の合計額が 1 万円未満であるかどうかにより判定することとなるため、役務の提供である場合には、通常、約した役務の取引金額によることとなります。月単位での取引(200,000 円の取引)と考えられますので、少額特例の対象とはなりません。

 

Q6.売り手が負担する振込手数料を支払手数料として処理する場合はどうなりますか? 

A.売り手が負担する振込手数料を支払手数料として処理、すなわち課税仕入れとしている場合には、そもそも返還インボイスの交付は必要ありません。

 

Q7.返還インボイスの交付義務免除について、売手負担の振込手数料を会計上は支払手数料として処理した場合でも、消費税法上は対価の返還等とできますか。 

A.対価の返還等として取り扱うことができます。なお、消費税法上、売上値引きとする場合、対価の返還等の元となった適用税率(判然としない場合には合理的に区分)による必要があるほか、帳簿に対価の返還等に係る事項(※)を記載し、保存することが必要となります。
※ 帳簿上、支払手数料として処理した場合、その支払手数料を対価の返還等として取り扱うことが要件設定やコード表、消費税申告の際に作成する帳票等により明らかであれば問題ありません。

 

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