亡くなった方の確定申告(準確定申告)
[アクタス税理士法人 News Letter2024.7]
2024/07/19
亡くなった方の確定申告(準確定申告)[News Letter]
家族が亡くなった場合、相続税申告や所得税の準確定申告など税金に関する申告手続きが必要となる場合があります。相続税申告の期限は10 か月以内ですが、準確定申告の期限は4 か月以内と短いため、申告手続きが必要となる場合には早めに準備をしなければなりません。今回は、亡くなった方の確定申告である「準確定申告」について紹介します。
■ 準確定申告とは
一般の方の所得税の確定申告は、毎年1 月1 日から12 月31 日までの1 年間の所得金額と所得税額を計算し、翌年の2 月16 日から3 月15 日までの間に申告と納税を行います。
年の途中で亡くなった方の場合は、相続人が、亡くなった方に代わり、1 月1 日から死亡日までの所得金額と所得税額を計算し、相続の開始があったことを知った日(死亡日)の翌日から4 か月以内に、申告と納税を行わなければなりません。この手続きを「準確定申告」といいます。また、3 月15 日より前に亡くなられた場合で、亡くなった年の前年の確定申告が終わっていない場合には、前年の確定申告も行う必要があります。この場合の申告期限も、相続の開始があったことを知った日(死亡日)の翌日から4 か月以内となります。
■ 準確定申告が必要となる場合
準確定申告は、亡くなった方に所得税額が発生する場合に必要となる手続きです。従いまして、亡くなった方のすべてに必要な手続きではありません。亡くなった方が、以下のケースのように、生前に個人事業主であったり、不動産所得があったりして確定申告をしていた場合などは、準確定申告が必要となる場合が多いです。
また亡くなった年に、不動産を売却した、株式などを売却した(源泉徴収されていない場合)、生命保険や損害保険の一時金や満期金の給付があったような場合にも、準確定申告が必要となる場合があります。
■ 準確定申告による納税
亡くなった方の所得税の納税については、遺言による負担者の指定がない場合には、相続人の遺産分割協議により負担割合を決めます。申告時点で遺産分割協議が整っていない場合には、納税額を法定相続割合で分けて期限までに納税が必要となります。
■ 準確定申告により還付を受けることができる場合
給与や年金等で源泉徴収されている所得税がある場合や、死亡日までに医療費や社会保険料、生命保険料、地震保険料等の支払いがある場合は、準確定申告を行うことで所得税の還付となる場合があります。
準確定申告の所得税の納税が必要な方の期限は4 か月以内ですが、還付を受ける方の準確定申告の請求期限は亡くなられてから5 年です。準確定申告による所得税の還付金は亡くなられた方の相続財産となりますので、相続税申告を行う場合は、相続税申告の期限に間に合うように事前に準確定申告の所得税の還付申請を進めて頂くことが大切です。
■ 準確定申告書を提出する人
準確定申告書は、亡くなった方に代わり、相続人全員で申告書を提出する必要があります。申告書の提出は各人が個別に申告作業をする必要はなく、1 つの申告書に相続人全員が連署して提出すれば、相続人全員が準確定申告を提出した扱いとなります。なお、準確定申告書の提出先は、亡くなった方の死亡日時点の住所地を管轄する税務署になります。
■ 令和6 年における準確定申告
令和6 年6 月1日以後に、令和6 年分の準確定申告書を提出する場合には、その準確定申告の際に定額減税の適用を受けることとなります。定額減税とは、納税者とその扶養親族などの人数×3 万円を、その納税者の令和6 年分の所得税から控除できる特例措置です。たとえば、亡くなった方が配偶者のみを扶養していた場合は、6 万円(2 人×3 万円)の所得税の税額控除を受けることができます。令和6 年のみの優遇税制となりますので、忘れずに申告するようにしましょう。
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