「ふるさと納税」の仕組みと手続き〔3〕メリットとデメリット
ふるさと納税は、そのメリットとデメリットを踏まえた上で意思決定をすると良いでしょう。具体的には次のようなメリットとデメリットがあります。
(1)メリット
① 寄附をする側(納税者側)
●被災地の復旧、復興に協力できる
●必ずしも故郷でなくとも好きな自治体に寄附ができる
●自由な金額で寄附ができる
●使途の目的を限定できる自治体がある
●自由なタイミングで寄附ができる
●特典がある自治体から特産物等を獲得できる
※特産物には、米、牛肉、豚肉、魚介類の農産水産物や加工品 等
●本来、確定申告義務がない者も利用できる
●必ずしも寄附金控除を受けなくても寄附自体はできる
●クレジットカード払い可能であれば即寄附ができる
●ポイントサイト経由の寄附でポイントが貯まる 等
② 都道府県・市区町村側(自治体側)
●被災地の復旧、復興に役立てることができる
●広範囲から財政収入を確保できる
●収入を早期に確保できる
●特典の提供により産物をPRできる
●地域の不用品と思われていたものを産物として活用できる
●産物の無い地域でも工夫により特典品を用意できる
●PRによって観光を勧誘できる
●役所の職員のモチベーションが上がる 等
(2)デメリット
① 寄附をする側(納税者側)
●税額控除を受けるためには確定申告、又は一定申請の手間がかかる
●計算方法が複雑で減税との関係で最適な寄附の金額を把握し辛い
●減税の適用よりも先に納税(寄附)をする必要がある
●所得の確定前の寄附なので最適な寄附の金額を予想で決める必要がある
●全ての自治体がふるさと納税制度を採用しているわけではない
●特典品目当てでも必ずしも特典品があるとは限らない
●支払い方法によっては手続きが面倒 等
② 都道府県・市区町村側(自治体側)
●住民が他の自治体に寄附してしまうリスク
●ふるさと納税制度の導入に手間がかかる
●支払い手段によってはコストがかかる
●特典とすべき産物が無い
●議会の理解が得られない
●役所の職員にやる気が無いと寄附が集まらない 等
(3)ふるさと納税の意思決定
ふるさと納税をするかしないかの意思決定にはメリットとデメリットを踏まえた上で次のような判断が考えられます。
① 寄附をする側(納税者側)
●ふるさと納税をするのかしないのか
●どの自治体(都道府県・市区町村)にふるさと納税をするのか
●金額をいくらにするか
●どのタイミングでふるさと納税をするのか
●支払い方法の選択
●複数の自治体にふるさと納税を行うのか
●同じ自治体に複数回数のふるさと納税をするのか
●どのような目的(使途や特典)でふるさと納税を行うのか 等
② 都道府県・市区町村側(自治体側)
●ふるさと納税制度を利用するのかしないのか
●いつから導入するのか
●どのような目的で寄附を募るか
●特典をどうするのか
●どのような支払い方法を設けるのか
●PRをどのようにするのか 等
2023.11.13 ※本原稿は令和5年9月末現在の法律に基づいています。
執筆者:税理士 森田 純弘
森田純弘税理士事務所所長。昭和62年中央大学商学部卒業。大原簿記学校税理士課法人税法科講師、会計事務所勤務を経て、平成9年森田純弘税理士事務所を開設。元全国青色申告会総連合副会長。主な著書として、「固定資産税の課税の誤りと他方面への影響」(税務研究会)、「誤りやすい地方税の実務Q&A」(税務研究会)などがある。